師の一刀
それを阻む
一方で現実世界では、鬼神の力を駆使するエリクと復活したマギルスが中心となりマナの
それに加わるのは
こうして内外の状況に変化が及ぶ中、世界破壊の計画が実行されるまでの時間は刻一刻と猶予を削られていく。
その間にも
「――……残り時間、
「無茶を言う!」
「無理だって言うなら、私にも
「出来るのかっ!?」
「アンタがやれてるのよ! すぐにやれるわっ!!」
「……なら、射出攻撃の停止を頼むっ!! 遅延でもいい!」
そう叫ぶアルトリアに対してウォーリスは何か言いた気な口を敢えて閉じながら、自身の周囲に投影させた
アルトリアは目の前に流れてきた
しかしアルトリアがウォーリスと共に書き換えに加わったことで、
その隙を突くように迫る天使モドキ達に対して、未来のユグナリスとフォウルの二人は凄まじい速さで
「――……まだ終わんねぇのかっ!!」
「今やってるとこよっ!!」
「俺達だけじゃ、この数は難しいぞっ!!」
「そんなの分かってるわよっ!! だからアンタ達は、死ぬ気で私達を守りなさいっ!!」
「チッ、だから女ってのはなぁ!」
「お前のそういうところが、嫌いなんだよッ!!」
未来のユグナリスは聖剣から繰り出す『生命の火』を用いた剣戟によって、天使モドキ達を両断しながら排除する。
一方で鬼神フォウルは単純な殴打のみで対応しながらも、その破壊力は片腕と片足から放たれる膂力だけで天使モドキの姿を粉砕して見せていた。
しかし圧倒的な強さを見せるその二人ですら徒労を感じる光景が、目の前に広がっている。
それは黒い裂け目から次々と溢れ出て来る
それでも
むしろそうした状況の中で己が役割を見出せず混沌の渦中に身を置いていたのは、
「――……おじさんっ!! コイツ等、倒しても倒してもキリ無いよっ!!」
「あの樹をどうにかしないと、無限に沸き続けて来る……!!」
「マギルス! ユグナリス! マナの
「……アリア、まだなのか……!?」
マナの
しかしマナの
そんな三人に対して、何かしらの変化が起こそうとしているアリア達の行動結果をエリクは待ち続けている。
しかしウォーリスが書き換えに回った事で素早い生産量と高い個体能力の制御が外れてしまった『神兵』達は、確実にエリク達を追い詰め続けていた。
そうして『神兵』達と戦う者達から離れた場所にて、
左手を失い自身の
「――……クソッ、せめて
自分自身でも意図しない形で失った左手を見て、ケイルはそうした言葉を浮かべる。
それでも自分が与えられた役目をやり終えた事を認識し、これ以上の参戦は他の者達の足を引っ張ってしまう事を自覚していた。
だからこそ、ケイルは自ら
「お前は、マギルスを手伝って来てくれ」
「ブルルッ」
「アタシは大丈夫だ。自分の
「……ブルッ」
自身の両足で立ちながらそう促すケイルの言葉を聞き、
しかしそれを聞き終えると、マギルスの
それを見送ったケイルは、青馬が去った場で堰を切るように息を吐き出す。
更に大量の冷や汗と乱れた息を吐き出しながら、その場に尻餅を着く形で倒れた。
「はぁ、はぁ……。……チクショウ……ッ!!」
ケイルは包帯越しに切断した左手から再び出血が激しくなっているのを感じながら、歯を食い縛らせて耐え凌ぐ。
しかし消耗した体力は出血によって更に削られ、戻らない
このままだと自分の結果を見届けられないことを朦朧とする意識で察知したケイルは、唇を強く噛み締めながら意識を保とうとする。
しかしそれもままならず意識と共に身体を右側へ傾けた時、ケイルは奇妙な浮遊感を味わいながら懐かしく思える声を傍で聞いた。
「……あ、れ……?」
「――……
「……師匠……。……巴さん……」
朦朧とする意識の中、ケイルは自身の耳に師匠である
更に自身を抱え纏う匂いがもう一人の師匠である
「し、師匠……。……エリク達を、助けてやって……ください……」
「!」
「もうすぐ、アリア達が……
師匠である頼もしき
そんな
「……
「はい。処置を終えたら、
「うむ」
ケイルを抱えた
その効力か、血の気が薄かったケイルの表情が僅かながらも血色を戻す。
更に枯渇していた
一方で地面を蹴るように走る
その接近に真っ先に気付いたのは、樹木の上で
「――……うぉ、なんだっ!?」
「どうした!?」
「やべぇ殺気が近づいて来るっ!! コイツは――……!!」
「……ありゃ、人間かっ!?」
「あの服、確か寝っ転がってたアズマ
走り迫る殺気の塊が後方から近づいて来る
すると
「――……月の型、奥義。『
凄まじい殺気が込められた
その黒い斬撃に飲み込まれた瞬間、『神兵』達は反撃すら許されず肉体を崩壊させながら撃墜された。
そして右足を地面へ着けながら身構えて着地した
「……よくも、大事な弟子の腕を切り落とした。――……貴様等、許さんぞ」
その認識に大きな過ちこそ無かったが、ケイルが必要な理由で自分自身の左手を切り落とした事を理解しないまま、
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