魂の導き
そして
四方全てが青い空に覆われている世界で巨大な大地となって浮かぶ白い神殿に辿り着いたウォーリス達は、
すると黒い塔の
ウォーリスは身綺麗な黒い礼服を身に着け、何も持たない状態でいる。
対象的にザルツヘルムは背中に悪魔の羽を生やしながら飛翔し、その両腕にはアルトリアとリエスティアの二人を抱えた状態だった。
アルトリアは呪印の影響で衰弱している為、まともな抵抗も出来ていない。
もう一人のリエスティアも、精神と魂を失っている為に最低限の生体反応以外は無反応のままだった。
それを確認したウォーリスは微笑を浮かべた後、開かれた黒い塔へ視線を戻し、
「――……アルフレッド、留守を任せたぞ」
「お任せください」
互いに微笑みの言葉を向けた後、ウォーリスはザルツヘルムと共に中空を飛びながら巨大な白い神殿の出入り口を目指す。
その途中、ウォーリスは周囲を見渡しながら呟いた。
「ここが
巨大な白い神殿を上空から見渡すウォーリスは、それが
しかし自分達の知る
「しかし、白い
対象的にザルツヘルムの左腕に抱えられているアルトリアは、苦々しい面持ちを色濃くさせながら神殿を見て奇妙な既視感と郷愁を強めていた。
「何なのよ、これ……。……私は、この
「……」
そうした対象的な二人の声が聞こえながらも、ザルツヘルムは周囲に注意を向けながら悪魔の羽で飛び続ける。
すると神殿の中腹まで辿り着いた時、アルトリアが何かを思い出すようにしながら声を大きく張り上げた。
「……ちょっと、止まりなさいっ!!」
「!」
「む?」
突如として止まるよう声を上げるアルトリアに、ザルツヘルムとウォーリスは互いに驚きの表情を浮かべる。
しかし二人は飛翔しながら進むことを止めないまま、次の瞬間には奇妙な感覚に襲われた。
「ウォーリス様、これは……」
「……どうやら、神殿そのものに仕掛けがあるらしい。……
二人は奇妙な感覚に襲われた直後、飛行高度が意識しないまま落ちた事を察する。
すると素早く身を引かせながら影響の及ばない中空に留まり、この先へ進む為には飛翔できない事を悟った。
しかしウォーリスは、その仕掛けを知るように警告したアルトリアへ注目を向ける。
「アルトリア嬢。何故、こんな仕掛けがある事を知っていた?」
「……ッ」
問い掛けに答えず顔を逸らしたアルトリアを見て、ウォーリスは僅かに思考する。
するとアルトリアが仕掛けを警告した意味を、自身の推論として述べた。
「……なるほど、君は
「ハッ」
「アルトリア嬢。君は是非、
「……誰が……!」
自身が抱く郷愁と既視感の理由について、ウォーリスの推測が当たっている可能性をアルトリアは察してしまう。
その反発心から睨みと刺々しい拒絶の言葉を口にしたアルトリアに、ウォーリスは黒い微笑みを向けながら降下を続けた。
神殿の出入り口まで舗装されている道に、ウォーリスとザルツヘルムは着地する。
そして悪魔の羽を閉じるように背中へ収納したザルツヘルムの左腕から、ウォーリスは奪うようにアルトリアの身体を引き抜いた。
「ッ!!」
「我々のような
「……ッ」
「無駄な抵抗は止めておけ。お前を助けてくれる者など、
ウォーリスの
そして衰弱した身体で立たされた後、ウォーリスはザルツヘルムに声を向けた。
「ザルツヘルム、
「承りました」
「アルトリア嬢、もし疲れたらすぐに言いたまえ。私が優しく抱えて、歩いてあげよう」
「……大きな、御世話よ……っ」
白々しい程の笑みで優し気な声を向けるウォーリスに、アルトリアは嫌悪の意識を向ける。
そして弱まっている身体に僅かながらも
しかし身体に巻かれるように刻まれている呪印が解けたわけではなく、魔法などもまだ使えない。
それでも自分の
アルトリアに先導させるウォーリスとザルツヘルムは、神殿へ向かいながら緩やかに歩き始める。
それから三十分程の時間が経った頃、黒い塔の内部に待機しているアルフレッドに場面は戻った。
開かれた天井や周囲を投影する映像を見ていたアルフレッドは、『
そして上空に形成されている光の
「……!」
見開いた瞳から僅かに奇妙な音が鳴った後、何かに気付いたアルフレッドは投影した操作盤を操り始める。
そして周囲に映し出している映像を全て確認し、更に自身の
「……そうか、そういう事かッ!!」
アルフレッドは操作盤で黒い塔を制御し、その
塔の表層を変化させながら数多の黒い棘を作り出したアルフレッドは、その先端から細くも強力な魔力砲撃を光の
その一つの砲撃が何かを掠め、空の景色が僅かに歪む。
それを確認したアルフレッドは憤りに近い表情を向けながら、唸るような声で呟いた。
「やはり、こちらの
怒りに震える声を向けながら、アルフレッドは歪んだ空の景色に向けて再び魔力砲撃を放つ。
すると次の瞬間、その歪んだ景色の
そして姿を見せた
その
『――……こちらの偽装が
「!?」
「また、
『全員、傍にある物に掴まっていろ!』
設置している通信器を通じて警告を向ける『青』に応じ、貨物室にいるエリクとマギルスは傍にある壁や扉に掴まる。
すると箱舟の後部に備わる
それを撃墜すべく、アルフレッドの操る黒い塔は魔力砲撃が数多に襲い掛かった。
こうして『
そしてついに『
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます