研がれる刃
『天界』へ向かう
そして『天界』へ到着するまでに丸一日の時間であり、その間に各々は戦う前の休養に入った。
するとエリクとケイルの間で、『青』の協力者が誰なのかという議論が生じられる。
その結果として、『青』に奪われていたアリアの
しかし未来と現在のアリアを無意識に混同していたエリクに対して、ケイルは厳しい言葉でそれを諫める。
そして二人のアリアについて気持ちの区切りを付けるように伝えると、ケイルは
その道中、ケイルは
先程までエリクと口論していたケイルは苦々しい表情を浮かべ、
しかしその後ろから付いて来る
「――……いいのか?」
「……良いんです。アタシの役割は、いつもあんな感じなんで」
「そうか。……それにしても、少しばかり想像と違うな」
「え?」
「お前から聞いていた話だ。……アレが、お前の想い人だろう?」
「……もう、そういうのじゃないですよ」
しかしその声に言葉の強さは感じられず、溜息を漏らした
「まるで、負け戦をしに行くような様子だな」
「……すいません」
「責めてはいない、身を引くというお前の
「えっ」
不意にそんな言葉を聞かせた
そして
「私は、親方様……
「!」
「親方様は国柱たるナニガシ様の息子として、私は
「……」
「そして私が十五の時、御庭番衆の次期頭領を決める試験が行われた。……
「え、ええ。確か
「それだけはなく、各党には
「
「そうだ。……だが試験は過酷だった。何せ最後には、残る各党の代表者達が殺し合うのだからな」
「!?」
「私は試験の最後まで残り、各党の頭領候補と戦った。……そこで勝ち残ったが、最後に戦った相手から毒が塗られた刃を受けた。命こそ落とさなかったものの、私は子を儲けられぬ体となった」
「……ッ」
「私はその時、
「……でも、師匠はそれを断った」
「そう。
「……
「そうだ。
「なるほど……」
「私は党と親方様達に守られ、夫婦として暮らす仲になった。……だがそうなる前に、私は親方様と戦ってまで離れようとした事もある」
「えっ」
「それで負けてしまい、親方様に組み敷かれた。その時に初めて、あの方の
「……そ、そうですか……」
微笑むような声でそう話す
しかしそんなケイルに対して、
「
「は、はい」
「お前が本当に身を引くつもりなら、お前自身も気持ちの区切りを付けておけ」
「!」
「でなければ、いざという時に振る刃が鈍る。……そのせいで私は、親方様との仲を断ち切れなかった」
「……
「私には親方様がいたから、その後悔も払拭できた。……だがお前の悔いを誰も拭えないのであれば、お前自身が悔いを断ち切れるようにしなければいけない。……分かるか?」
「……言いたい事は、分かります」
「分かるならいい。……後は、お前の覚悟次第だ」
「……はい」
そして覚悟を戻した表情を見せると、
二人はそれから言葉を交えず、それでも互いの意思を汲み取るように通路を歩く。
そして自分達に用意された部屋まで訪れて扉を開けた時、そこで寝台の上で足を組みながら座る
「――……師匠……」
「……話とやらは、終わったか?」
「はい」
「そうか。……あの男、強いな」
「!」
「底知れぬ
「……エリクはあれでも、四十に近い
「見た目の話ではない。……
「!」
「あの男は
「……はいっ」
そしてケイルに対して注意を向け、その安否を気にするような様子を見せた。
それを受けたケイルは気を引き締めた顔を明かすと、
それから三人は部屋に固定されている寝台の上にそれぞれ座り、気を落ち着かせながら座禅を組み、身体に纏わせる
こうしてケイルと
それが自らの
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