精神武装
嬉々とした表情で余裕を持つマギルスは、
その余裕の裏付けとして
クロエという強い聖人と戦い、更に奇異な能力で何度も打ちのめされながらも成長したマギルスにとって、
それを証明するように複数で襲い来る
「――……お返しの脇腹!」
「ギィガァアッ!!」
「そっちも!」
「ブォアアッ!!」
マギルスは施設内の中空へ跳びながら追い跳んだ
大鎌を始めとした壁や地面の激突でも、強化された
しかし裏腹に、
それは他の
「――……それだけ魔力を使ってたら、そうなるよね」
「……ガァア……ッ」
「グォオ……ッ」
「魔力だって無限にあるわけじゃないんだよ? 素早く動いたり、攻撃したり、防御したり。全力でそれに魔力を振り分けたら、そうなっちゃうさ」
マギルスは微笑みながらも呆れたように述べ、
始めこそ赤鬼化したエリク並の魔力を放出し襲い掛かっていた
それを告げられた
その様子でマギルスは大鎌を構え直し、
しかし、
示し合わせた様子も無く突如として全員が散り散りに動き、周囲にある
「えっ!? ……そっか、そう来るんだ!」
マギルスは始めこそ眉を顰めて困惑したが、すぐに納得した声を漏らす。
この施設内に並べられている
それに対して解放された
仮に施設全ての
しかも最大数は千を超える以上、マギルス一人で魔力を使い果たすまで持つかどうか分からない。
そうした戦術を自ら思考した
「させないよ!」
マギルスはその意図を察し、容器を破壊していく
しかし新たに解放された
「ッ!!」
「フォォオオオンッ!!」
マギルスは大鎌の柄でそれを防いだが、衰えていない新たな
身を翻しながら壁に着地するマギルスだったが、その間にも次々と新たな
次々と現れ襲う
そしてついに、千を超えた
「くっ、ぁあッ!!」
「ガォオオオッ!!」
「ピュウウッ!!」
「――……しまっ……!」
四方から迫る獅子顔と翼を羽ばたかせた鳥顔の
剛腕で振られる爪と鋭く突かれる嘴を
その瞬間には幾百の
それに気付いたマギルスは咄嗟に
マギルスの視界は様々な色合い魔力に埋め尽くされながら、それが直撃する。
凄まじい爆発と轟音が生み出された施設内部は地震が起きたかのように揺らされ、光と衝撃に溢れた。
それから十秒後に爆発を起こした魔力の光が収まり、霧状に四散する。
それを見上げながら確認した千を超える
「――……『
「!」
霧状に四散した魔力の中から、マギルスの声が響く。
更にその中から青い魔力が輝きを強め、霧を一気に晴らした。
そして中空に浮かぶモノを見て、
そこに居たのは、左半身を中心に青い鎧甲冑を纏い更に青馬の顔をした大盾を構えた、少年姿のマギルス。
青い鎧はマギルスが魔人化した際の
『――……ヒヒィンッ!!』
「えっ、出すのが遅すぎ? だって、お前が出たら遊べないじゃん!」
『ブルッ』
馬の鳴き声を出す青馬の大盾は、まるで意思疎通できているかのように浮いたままのマギルスに目を向ける。
マギルスもそれに反応して会話を行い、互いに短くも口論している様子を見せた。
しかしそれと相反するように、数百以上の
それを感じ取り中空から見下ろすマギルスは、左手で構える青馬の大盾に話し掛けた。
「……しょうがないなぁ、分かったよ。遊びはここまでね」
『ブルルッ』
「――……『
マギルスは再び呟き、右手で持つ大鎌の柄を左手も動かして掴む。
その瞬間に青馬の大盾を青い光を放ちながら消え失せ、左半身に備わる青い甲冑も消失すると、大鎌の方に青い魔力の光が集まり始めた。
青い光が強まり、周囲を照らすように輝く。
その光が収まった瞬間に新たに姿を現したのは、マギルスの両手から腕を覆う青い籠手と、青馬の意匠が加え施された青い大鎌だった。
それを振り翳したマギルスは、下に居て
「――……じゃあね。ばいばい!」
そう告げて笑いながら、マギルスは大鎌を振る。
その瞬間、青い大鎌から今までの比ではない巨大な
それに触れた瞬間、
そしてその斬撃は施設内の床や壁すら破壊し、マギルスの居る区画を崩壊させた。
「……やっぱりコレ、まだ威力の加減が出来ないや!」
『ヒヒィン』
「僕の未熟だから? お前って、意外と口悪いよね!」
『ブルルッ』
マギルスは大鎌になった青馬に向けてそう話し、倒壊する施設を眺めながら空中に浮き続ける。
そしてマギルスが放った攻撃で、
これがマギルスの編み出した特殊技法、『
そうする事でマギルス自身が行う
それを様々な
こうしてマギルスの新技は、
そして更なる地下へと、マギルスは移動し始めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます