第215話 西の軍営
人狼の村を出てから数日後──。
ロイは物音で目が覚めた。顔を少し起こして周囲を見渡すと、座席型のベッドの横でアンジュが着替えていた。
着替えと言ってもまだほとんど全裸であり、水色の下着をピチッと音を立てて履いてる最中だった。
テスティードの窓から射し込む朝日が、彼女の黄金色の髪と綺麗な裸体をより一層際立たせていた。
少しの間、見惚れていると視線に気づいたアンジュが半身で振り返った。
「ちょ、ちょっとぉ! そんなにジロジロ見ないでよ!」
「すまん、綺麗だったから……」
思わず柄でもない言葉を吐いてしまった。だけど、本心からそう思っていることには違いない。
そんな俺の心が筒抜けなのか、アンジュは「そ、そう?」と少し顔を赤くして前を向いた。
再び着替え始めたアンジュを暫く眺めることにした。
アンジュに限らず、女の下着はどうしてああもピチピチなんだろうか。色々と凹凸がはっきりしていて、かなり扇情的なデザインだ。
そして何より魅力的なのは、後ろからでも分かるほどの横乳だった。胴体より少し横にはみ出してるから、少し動くだけでもそれは揺れ動く。
地面に散乱した衣服を拾うアンジュと再び目が合った。
「ロイ君、おっぱい見過ぎ……。私ばかりじゃなくて、サリナのを見てあげなよ」
アプローチの回数だけならダントツでアンジュがトップなのだが、羞恥心とそれは別物みたいだ。
ユキノ
これ以上はアンジュの機嫌を損ねる可能性があるので、隣で今も熟睡しているであろうサリナへと視線を向けた。
今もすぅすぅ息を立てて眠るサリナ、その額にかかった前髪を掻き分けた。
少し茶色の混ざったセミロングの黒髪。起きたらツンツンしてくるけど、寝てる間は可愛らしい顔をしている。
取り敢えず、シーツをゆっくり剥がしてその下にある果実を見るとしよう。
双丘が徐々に姿を現していく。そして少し桃色の部分が見えそうになったあたりで、サリナが起きてしまった。
「よ、よぉ……」
「……ッ!?」
サリナの顔が少しずつ赤くなっていく。ヤバい、ビンタくるかも。
身構えるも一向に衝撃はこない。
「その……向こう向いててくれる? すぐに着替えるから……」
「えっ、あ、うん。てか……怒らないのか?」
「まぁ、何度も見られてるし。それにアタシも、その……恋人なんだから……悪い気持ちにはならないというか……」
何故だろう、サリナのいつもとは違う対応にこっちもドキドキしてきた。
「2人とも! さっさと着替えなよ。ユキノを起こすの大変なんだから」
アンジュの叱責を受けて、ロイとサリナは顔を見合わせた。
「まぁ、着替えるか……」
「そうね」
これ以上バカやってる時間はないので、大人しく着替えることにした。
☆☆☆
ハルモニアとの国橋の少し手前、厚手の生地で出来た幕舎が綺麗に並んでいた。
幕舎には色んな国の紋章が刺繍されており、どの幕舎がどの国からの出兵かがわかるようになっている。
ユキノはそんな光景が珍しいのか、周囲を見渡しながら感嘆の声を上げていた。
「ほえ〜〜、凄い数ですね〜!」
「そうだな。ハルモニアは貿易国家でもあるから、レグゼリアに押さえられたままってのはどの国も嫌なんだろ」
「あ、そっか! 関税とか好きにできますからね!」
「今はまだ国営をハルモニアの重役に任せているみたいだが、統治が進んで文官が送られるとそれも危うくなる」
「じゃあ、まずはハルモニアからレグゼリア軍を追い出すのが目的なんですね」
「それもあるが……ゼピュロスの塔を封鎖するという目的もある。クリミナルの増殖を防ぐ必要がえるからな」
そう、問題はレグゼリアだけじゃない。新たなる生命の創造は禁忌であり、レグゼリアの研究が進めば世界に
「あ! 鐘の紋章の幕舎、あれじゃないですか?」
「みたいだな。俺達も中に入るとするか」
こうして、ロイ達は帝国の幕舎に入ることになった。
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