第125話 感情の無い星 この星の危機(ホロ視点)
雪、いや雪だったクウロが睨みながらプディを見ている。
本名はホロロというらしい。
ここは雪やプディ達が住んでいる星。
夢の中で見たあの幻想的な空の姿は何処にも見当たらず、真っ暗闇に包まれている。
黒猫の姿になった雪が俺にゆっくりと近づいた。
『辰君、黙っていて、ごめんなさい。
びっくりしたよね?』
クウロの姿である雪の声は震えていた。
『俺は知らない所でお前が苦しんでいる方が辛いんだ。
だから気にするな。
しんどかったな。
頑張ったな......』
モフモフな白い前足で雪の頭を撫でたいと、ゆっくり右前足を上げた。
だけど、このモフモフでは雪(クウロ)の顔を撫でる事も出来ない。
俺は美しい黒猫の姿の雪の側に近寄って、ペロリと頬の毛を舐めた。
真っ暗闇の中だが雪が照れているのが伝わってきた。
『貴方達。感動の再会だかなんだか知らないけど、この星の状況を見なさいよ。
今はそんな事している場合じゃないのよ。
ホロロ(雪)さんの元同僚(隊長さんでしたっけ?)さんも、力を貸してくれて、無事星にはたどり着いたけど、やる事が山ほどあるのよ。
まず原因をつきとめないと』
俺達の様子を呆れる様に見ていたプディが設計図の様な紙を取り出した。
プディの話によると、この星は地球でいう所の電気や水、ガス。
全てをパワーで補っていたらしい。
色々な光の色が飛び交っていた様に雪の夢の中で見たが、あれはパワーだったという事だ。
法律で感情を取り締まられていたが、パワーの供給は何処かからあって、それで国は回っていたらしい。
プディも星の皆達がどんな役割を担っているか知らなかったらしい。
プディはこの星の王女らしいが、ずっと城に閉じ込められいたそうなんだ。
『それで、数日前から、そのパワーの供給が止まったというのね?』
プディの声に、どうにも出来なくなり慌ててふためく事も出来ず無表情だか疲れきってしまっている星のモノ(見た目、猫にそっくり)が力なく頷いた。
そして、パワーが供給されていた方向などを調べる為、俺達は走り回った。
ココは車もない。
全てパワーで補っていただけ、パワーがなくなってしまっては全ての機能が止まるのと等しかった。
俺達にはパワーがあるのに、何故あの猫(ではないかもしれない)達にはパワーがそんなに出せないんだ。
『みんな、パワーの元である。感情がないからよ。
感情を出せなくなってしまっているからよ』
そう雪(クウロ)が告げた時、プディが目を見開いた。
『アナタ、知っていたの?』
プディは声にならない声を上げていた。
『パワーは王の力が関わっているのかもしれない。
私達は地球の感情を調査させられて、ずっと星に感情を送らされていたから』
雪(クウロ)が辛そうに、そう、告げた。
私達は城に向かった。
雪のパワーを使ってひとっ飛びで、城まで到着した。
雪の黒い毛は毛羽立っていて、表情もなんとも言い表せない迫力だった。
城の中ではプディを見て城の中のモノ達が近づいてきた。
『プディ様、今まで何処におられたのですか?
王が倒れられたのです。
倒れられたのに、それが分かっているのに、
その地下の部屋に誰も入る事が出来ないのです。
パワーの供給が止まり鍵すらも私達は開ける事が出来ないのです』
使用猫(猫ではないかもしれないが)であるその猫の言葉を聞きプディが地下へと走っていく。
俺達も後を追う。
途中、不気味な階段が上に繋がっている場所で、プディが何か呟いていたが、プディは顔を左右に振った後、再び走り出した。
雪の力を使って地下室の鍵は簡単に開いた。
その部屋の中では床に青い顔をして倒れた王様と、その横で、大きく膨れ上がり鋭い目つきをした
『お、お父様、何があったの......』
星を立て直す為、倒す必要があると、雪(クウロ)やプディがそう思っていた王様とやらは、すでに虫の息だった。
そして、目つきの悪い大きく膨れ上がったこの
この星では、一体何が起こっているんだ?
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