第98話 なんだか胸がモヤっとする (幸太郎視点)



 あれから、俺はホロに対して少し神経質になっていた。



 ここ数日はゆっくり眠れている様にも思うが、以前、ホロがよく、夜にガサゴソ動いていた時期があった。



 毎日と言う訳ではないが、数日に一回、夜にだけではなく、昼間も......。


 心配で病院に連れて行った事もある。


 特に何の病気でもなかったが......。



 まだ納得いっていなかった俺は心配になって、猫の病気について、調べた事もある。




 調べてみたら猫が食べてはいけないものはいっぱいあるし、腎臓病など、色々な病気になりやすいみたいだし、外に出してしまうと交通事故も多いらしい事も分かった。


 


 驚いたのがユリなどの植物が猫にとって猛毒なのだそうだ。


 猫にとっては結構な種類の植物が毒だとネット内でも書いてあった。


 アロマオイルも駄目らしい......。


 





 そんな風に分かっていたのに......。

 

 日頃、ホロ、プディ、デンを見ていて、ホロが危なっかしい事をしようとしていたら、うまい具合に絶妙なチームワークで助けているのをよく見かけた。


 デンなど自分の子供の様に、ホロやプディの事を心配している様に見えた。





 だからって甘えちゃいけなかった。





 言い訳にもなるかもしれないが、俺自身、人工的な風より、外からの自然の風が好きだった。


 つまり、エアコンを入れるよりも、網戸にして自然の風の中で過ごす事を好んでいた。


 

 

 あの日もそんなに長く家を空ける予定ではなかったし、実際、そんなには空けていない。


 デンも見てくれているから大丈夫だろうなんて、安易に考えてしまって......。




 あーーーー!

 そんな風に後悔したって仕方がないよな。


 これからは気をつけないと!




 そんな事を思いながらテーブルに置いてあった読みかけの本を手に取った。




 お気に入りの本なのだが、中々、集中ができない。




 文字を目で追いながらも考えるのはホロの事、そして......。



 悲しそうな比奈ちゃんの顔も浮かんだ。


 俺は自分勝手だな......。


 プディちゃんに何かあったら責任が取れない。

 そう思っての発言だった。



 だけど......。


 言いすぎたよな......。




 比奈ちゃん、顔真っ赤だった。

 頑張って笑っていたみたいだけど、我慢している感じがした。


 遊びに来ても良いって、そう言ったのに......。



 あれから全然、来ない。





 そりゃ、学生さんだし、日常が忙しいだろうし?


 プディちゃんを預かってくれる人でも探しているかもしれないし。



 もしかして、もう見つかって、その男の家に行っているんじゃないだろうな?


 危なすぎる。


 比奈ちゃんはちょっと無防備なんだ。


 って、男とも限らないよな?


 俺の考えすぎだよな......。


 だけど......。

 



 比奈ちゃんが他の男性と一緒に居る所を想像してしまって何だか、胸がモヤっとした。




 な、なんだ?


 俺、なんか面白くないとか思ってないか?





 その時ケージから少し音がした。


 俺は読んでいた本をテーブルの上に置き、軽く伸びをしながらケージの方を見た。


 デンもいつの間にかホロのケージの中に入っているみたいだ。


 本当にデンはホロが好きだよな。



 そんなデンを無視して、ホロが少しだけ薄汚れているハンカチと戯れているのが見えた。

 

 

 そう言えばあのハンカチ、俺がホロを自転車でひきそうになった、あの、いつものうちの近くの公園。  


 その出会いの時、ホロの下に置いてあったんだよな。



 ホロがギュッと握っていると言うか、爪に引っかけていて、もしかして大事なモノ? かもしれないと思って、一緒に持ってきたんだよな......。



 やはりホロの宝物になった。


 持ってきて良かった。



 まあ今、考えると誰かの落とし物だったのなら、まずいけどな......。







 明日は雪さんが来る日だよな......。






 そんな風に思いながらも、俺の頭の中に浮かんだ比奈ちゃんの泣きそうな顔が離れなくて、頭を軽く左右に振って小さく溜息をついた。

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