第61話 私がこの星に来た理由 (雪視点)
私は地球人ではありません。
私達の星は、この地球上と見た目はかなり似通った星だったのだと思います。
自然にも多く恵まれていました。
違いと言ったら、そうですね、私達には地球人にはない能力がありました。
この星で言うならば、超能力とでも言いましょうか?
私達の姿はこの星の、猫という動物にとても良く似ていました。
この星の猫という動物の祖先はもしかしたら私達の星のものなのではないか?
というぐらい似ていました。
見た目の違い、それは前足の指が右も左も一本ずつ多かった事だと思います。
一度話した事があると思いますが私の星では感情を表に出してはいけない。
感情を出すことは悪とされていました。
それはどれくらいのレベルでいけない事かと言うと、法律で取り締まりされるレベルと言ったら分かるでしょうか?
どうして?
そう疑問に思っても、そういう星としか言えないです。
この星の方が私達の星のモノを見ると、すごく不気味に見えると思います。
生まれた時から感情がないのだったら楽だったでしょう。
違います。
私達は感情を表す事は出来るけど、感情を表に出さない様、監視されていました。
この星で例えると、感情を殺したロボットが生活しているのと変わらないと思います。
私も、何も行動を起こさなけば、そのまま感情を殺したまま、あの星で一生を終えた事でしょう。
どうして、危険を起こしてまで、行動を起こしたのか、不思議に思われた方もいると思います。
何故か?
それは私の家族、私の祖先が関係していました。
私は、弟がいました。
私も弟も、自分で言うのもあれですが、とても良い子でした。
なので、もちろん、言われていた事はちゃんと守り、感情を表に出す事もしていませんでした。
ちゃんと守れず、思いのままに感情が出てしまう、そんな子も稀にはいました。
そういう子はある施設に入れられてしまうのですが、まあその話まですると、またまた話が長くなってしまいますので、その話はまた今度。
とにかく、私と弟はちゃんと規則を守っていました。
それなのに、幼い弟は、ある日、星の中の偉い感じの人に連れてかれてしまいました。
家の中に強引に入って来て弟を連れて行ってしまったのです。
この時、何故?
どうして?
私達は何も悪いことはしていないと感情をあらわに叫び出したかった。
だけど、あの頃の私は出来なかった。
私の弟が何故連れて行かれたのか?
それはのちのち、私が働けるほど歳を取ってから知りました。
一つ言える事は弟には周りの方にない、とてつもなく強い力があったのです。
その当時の私達は全然、気づいていませんでしたが......。
私は本当の家族は弟しかいませんでした。
だから他の家に引き取られて育てられても、私の心の中に存在している家族は幼い頃に連れてかれた弟だけでした。
私は考えました。
どうにかして、弟に会えないか?
そして、星が管理している職業につき、弟の情報をさぐる事を思いついたのです。
弟、うちの家族、うちの祖先には秘密がありました。
私と弟が幼い頃、二人で生活していた時、古い本を見つけました。
それは紙質などからとても古いモノだと分かりました。
その本の内容は幼い私達には分かりませんでした。
分かったのは、弟が連れてかれた、ずっと後。
その内容はこの星の他の方には知られてはならないと思いました。
この星が、こんな風になってしまった理由は、私の祖先が関係していたらしいのです。
私達の星のモノは能力がある。
その能力の源が感情の波。
つまり感情豊な程、能力が高いという事です。
そして、私の祖先が星の王を脅かす程、能力を高めた。
それを良しとしない王は自分達よりも能力を高めない為、法律を作った。
その過去の出来事が現在まで、続いている、そして、我が家の家系がその、能力を高めたモノの生き残りの家系だった。
その古い本にはそう書いてありました。
弟を探しに星の管理している職業につく事は出来ましたがまだ弟には会えていませんでした。
弟が生きているかも分かりませんでした。
そんな時です。
あらゆる感情を多く持つ星に、地球という星に行く調査人の募集があったのです。
その調査人とは感情を多く集めて星に送る事が仕事でした。
他の者達は何故そんな事をするのか、理由は分かっていない様でした。
他の者達は私達の能力が感情の多さによって高まると知らないからです。
私の星の王は感情を集めて、自分だけ能力を高めようとしているのでしょうか?
私達には能力が強くならない様、感情を持たない様に、取締り、支配力を強めようとしているのでしょうか?
私は、この事を知ってしまった私が、何とかしなければ、そう思ったんです。
そんな風に思ってこの星にやって来たのですが、やはり私は自分勝手なのでしょうね。
辰也さんにあって、幸せを味わったら、ずっとこのままでいたい、そう思う様になってしまったのです。
心のどこかには弟の事、星の事は引っかかっていました。
だけど。
感情が溢れ出した、自分自身を止める事が出来なかったのです。
辰也さんに初めて、私は恋をしてしまったのです。
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