第49話 あれ? 起きてしまった(汗)(ホロ視点)
俺はおばあさんやミーちゃんと遊んだだけでは話は進まないと思い、
その夢から一度出た。
そして先程のおばあさんの記憶が漂っている場所に戻っていた。
ダムの様にせき止められた記憶のかけらの映像の前に立った。
俺はその中の一つの映像を見つめた。
始めに見た映像。
出来れば入りたくないと思った夢。
雪、雪は介護士だったよな、
こんな風に日常で苦しんでいる人たちと日々向かい合っていたのだろうか?
あの時、俺はちゃんと支えることが出来ていただろうか?
物思いに更けている暇はないな……。
俺は意を決して興奮しているおばあさんの夢に飛び込んだ。
*******
『ミーちゃんがいなくなったのは、全部、麻沙子さんの所為じゃ、私は足が悪い。戸締りは麻沙子さんの仕事じゃろ! ミーちゃんはどこかでノタレ死んでいるのかもしれない。車に轢かれたかもしれない。あー……。私のミーちゃん。可哀そうな、ミーちゃん』
おばあさんはそう叫びながら項垂れていた。
『お義母さん……』
お嫁さんである、麻沙子さんは何か言いたそうにしている。
そして部屋の隅にミーちゃんぐらいの大きさの猫が居る事に俺は気がついた。
その猫は部屋の隅で震えている様だった。
その猫の毛は茶トラの中にまばらに白い毛が混ざっていて、顔の顎の中心部分に縫い跡があった。
俺は側まで寄って猫ちゃんを観察した。
毛が剃られているせいでワイヤーの跡がむき出しだ。
縫ってあるせいで顎の皮膚が引っ張られ下の歯がむき出しになっている。
見えている下の歯は縫い目を境に上下に少しズレていた。
これでは口が閉じれらないだろう。
なんとも可哀そうだ……。
『ニャ―』
ちょっと低い声でそのコが鳴いた。
目は綺麗なグリーン。
鼻の横に丸い黒い1cm四方の毛が生えている。
……。
ミーちゃん。
お前はミーちゃんなのか?
何があったんだよ。
おばあさん、ミーちゃん、いるじゃん。ここに。
おばあさんはミーちゃんと認識してないのか?
その時空間が大きく揺れて俺ははじき出された。
目を開けると心配そうにのぞき込んでいる幸太郎が見える。
やばい、まだ全然解決してないのに。
そうだよな……。夢だもんな……。
きっとおばあさんが起きたんだな。
俺も起きちゃったよ。
このままじゃ終われない。
今夜、自分からあの夢に行けるだろうか?
プディに相談してみよう。
さて俺は、本格的に昼寝でもしよう。
その前に腹ごしらえだな。
幸太郎? メシはまだか?
そんなに俺の顔を見てる暇があるなら、いつものカリカリにかつおぶしもプラスしてくれ。
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