第21話 ガゼルさん

「それで何で付いてくるんですか?」

「だって、銃を販売をするには佐々木さんのスキルレベルを上げないといけませんから。僕が大会で勝手も販売できませんじゃ困るんですよ」

「だからって付いてくる必要はないでしょう!」



 ひょこひょこと後をついてくるガゼルさん。人と話すのは元々得意じゃない。その上、早くレベル上げろよと言わんばかりの視線がひどいプレッシャーになって襲ってくる。頼むからついて来ないで。



「でもダンジョン攻略自体は複数人の方がいいと聞きます。佐々木さんにとってもそんなに悪いことじゃないのでは?」



 ……。あながち間違いではない。そもそも俺が【ぷよぷよ】の攻略を出来たのは姫宮さんのお陰でもある。いずれはパーティーっていう事も考えなければいけないかもしれない。



「言われればそうかもしれませんね……」



 俺は大人として分別ある行動をとる。だだをこねるばかりでは相手に舐められ兼ねない。



「でしょう! それに二人ならモンスターをいつもよりたくさん倒せます。そうすればスキルレベルもすぐ上がりますよ」

「そういえば気になっていたんですが」

「何でしょう?」

「スキルレベルもモンスターを倒してレベルが上がる、でいいんですか? スキルの使用回数とかの方がレベルアップに関係しそうなんですけど……」



 ゲームの殆どが普通のレベルとスキルレベルの上げ方が異なっている。この世界でも、それは異なるのではないか?



「スキルはモンスターを倒した時とレベルが上がった時のみ、スキルポイントが付与されます。ですから、レベル上げ=スキル上げっていう考えで大丈夫ですよ」

「スキルポイントですか……」



 俺はカードを取り出して、その項目を探す。しかし、そんなものどこにも見当たらない。



「スキルポイントと経験値の確認はレベル50から行えるようになります。どうしてもっていう場合は受付のお姉さんに鑑定のアイテムを使って貰うしかないです。ただ、かなりのポイントを取られますけどね……」



 俺の今のレベルは13。道のりは遠い。



「失礼ですけど、佐々木さんは今レベルはいくつですか?」

「13です」

「13……!」



 驚いた表情を見せる。ガゼルさん。何か俺変なこと言った?



「だったらまだここは早いです。【ぷよぷよ】に戻りましょう!」

「いや、でも、【ぷよぷよ】はもう踏破したのでこっちでいいかなと……」

「踏破したんですか!? そのレベルで?」

「はい……」



 姫宮さんの助けがあったとはいえ【ぷよぷよ】を攻略できた事に間違いはない。かく言う姫宮さんもレベルだけで見たらそこまでではないはずだ。



「【ぷよぷよ】の平均クリアレベルは35と言われています。僕だってクリア出来たのは割と最近なのに……」



 35……。俺は自分の耳を疑った。



「35って……。ちょっと誇張し過ぎじゃないですか?」

「そんなことはないです! だって終盤の階層はガンスライムが大量に出現するんですよ!」



 ガンスライム。確かに初めてあれに会ったときは恐怖を感じた。でも、弾が当たれば一撃だったし、姫宮さんもいたからあまり強い印象はない。



「ここに来たばかりであそこを突破したの何て、今まで一回しかも聞いたことが無いです……」

「もしかしてガゼルさんはここに来てから長いんですか?」



 ガゼルさんの話しぶりが如何にも古参だったので俺はつい問いかける。



「もう丸2年になります。ちなみにレベルは52になります」

「えっ!」



 完全に舐めていた。人は見かけによらないというのはこういう事を言うのだろう。

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