第18話 大収穫祭?

「こんにちわ! お身体はもう大丈夫なんですか?」

「はい。おかげさまで。昨日なんかビール飲んで1日終わっちゃいましたよ」

「そうですか! それは元気そうで何よりです」



 翌日の夜、俺は幸さんのいる深夜帯を狙ってダンジョンに挑戦することにした。それに言いたいこともある。



「それより、宿結構高かったんですけど……」

「ああ、すみません今の時期はちょっとお高めになってるみたいで……。私も全然気づかなかったんです」



 宿代が思いの外高かった事を幸さんに伝える。ちょっと性格悪いかな俺。



「今の時期何かあるんですか?」



 宿の値段が高騰するという事は、ここから行けるダンジョンに何かあるのか。それとも行楽シーズンに宿が高くなるみたいなことなのだろうか?



「実は丁度1週間後にセントラルタワーのあるこの中央地区で大収穫祭をするんですよ」

「大収穫祭?」

「はい! 数日だけ現れる特別なダンジョンがありまして、そこでは経験値の多いモンスター。ポイントの貯まりやすいモンスター。その他にも素材として高価な取引がされているドロップ品が非常に出やすいんです。そのダンジョンの出現の祝いと大漁祈願がダンジョン出現の1週間前から行われるんです」

「だからこの中央区に人が多く来て、宿代も馬鹿にならなくなると」

「そうです。中央区以外にダンジョンに行けるところもあるんですけど、そのダンジョンはこの中央区からしか行けないので」



 という事は中央区以外の場所が俺の思っている以上にあるという事……。この世界思っている以上に広いのかもしれない。



「中央区以外のダンジョンのある区ってどこになるんですか?」

「鍛冶区、魔法区、聖区です。その他もあわせて、区は全部で20。他の区は一般的な商業、住宅、工場がメインになってますね。商業がメインの区はダンジョンこそないものの色んな店があります。例えばギャンブルや風俗みたいなものまで」



 まるで普通の市町村のようだ。別にここで暮らすだけなら、ダンジョンに潜らなくても問題ないんじゃないか?



「まぁ、何を作るにしても売るにしても、元々の出どころはダンジョンです。例えば新しい品種の野菜を作ろうにしても、新しい材質の服を作るにしても、根源をダンジョンから持ち帰る事必要がある。ポイントの為じゃなくそういう意味でダンジョンに潜っている人も少なくないんですよ」

「あまり現実世界と変わらないかもしれないですね」

「私は佐々木さんの世界は知らないんですけど……そうかもしれないです」



 ここで必死に暮らしている人達がいる。どうせ一回死んでるから。そういう考えは良くないんだろうな。



「いやあ楽しみだな。お祭り」

「ふふふ。お祭りが始まるとランキング戦も始まるので、佐々木さんも頑張ってください!」

「ランキング戦?」

「その期間中に貯めたポイントで個人或いはパーティー、ギルドごとに競い合うんです。そういえば佐々木さんはギルドの入っていますか?」

「いえ。そんなものがあるなんて知らなかったです」

「いいですか。ギルドでは貯めたポイントに応じて、報酬を受け取れたりすることが出来るんです。他にもレアドロップ品の販売があったり、競売の参加権を得られたり、月の会費さえちゃんと支払うことが出来れば得な事だらけなんですよ」



 ソシャゲで見た事のあるシステムだ。でも、ギルドってあんまり活動しなさすぎるとギルマスに詰められたりして嫌なんだよね。



「まぁ、それはおいおい考えます」

「そうですか、良いギルドいくつか紹介できたんですけど……」



 寂しそうな顔して俺の顔をちらちら見る幸さん。何だろう、かわいいけど金の匂いがする……。



「えーっと、今日は【わさわさ】でお願いします」

「かしこまりました。それではダンジョン【わさわさ】にご案内します」



 大収穫祭に心躍らせながら、俺は新しいダンジョンへと向かうのだった。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます