第8話 商売上手

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名前:佐々木重一(ささきしげかず)

年齢:30

性別:男

レベル:4

HP:6/20

攻撃力:8

防御力:8

耐性:無し

スキル:ガンスミスLV1(特定の物体で銃や弾を作成できる)

保有ポイント:150→20

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 治療代思ったより安かったな。まぁ相場は分かんないけど……。

 


 自分のカードとにらめっこをする。減ったポイントと全く回復しないHPが俺の頭を悩ませる。


 

 やっぱり回復アイテム必須かな。この分だとHP回復だけでもそれなりにポイント取られそう……。



 俺は受付カウンターの近くのベンチに座り、安く回復アイテムを買えるようなショップの情報や治療代の相場を知る事の出来る相手がいればと思い、辺りを見回す。だが、周りにはあまり人がいない。さっきまで大量にいた同じ飛行機に乗っていた人達の姿さえも見えない。



「どうかなされたんですか? もしかして、さっきのお知合いの事ですか? ダンジョン内で致命傷を負って亡くなる方はかなりの人数です。元々は全員元の世界で亡くなった方達、というふうに割り切っていくしかないんですよ」



 カウンターで暇を持て余していた幸さんが俺に声を掛けてきた。どうやら、気を使ってくれたらしい。



「ありがとうございます。でも悩んでるのはその事じゃなくて、HPの回復とポイントについてで……。安く回復できる場所とかアイテムを売っている所とかありますか?」



 俺はどうせならと思い、思い切って幸さんに助言を貰うことにした。この人がその辺の情報を知らないわけはないだろう。



「そうですね……。単純なHP回復だけだったら外の宿に泊まるのが一番いいと思います。一泊安いところなら30ポイント位です。あと、外で売ってたり、ダンジョンで生えている薬草を使うのもありだと思います。回復量は10もない位なんですけど、低レベルならそれだけでも十分なはずです。相場は5~10ってとこですかね」



 ポイント結構使う……。やっぱりさっきの支払い痛すぎるな。俺は親切心でした自分の行動を悔やんだ。



「でも確か、えーと佐々木さんですよね? 貴方は先程150ポイント付与されていたので、その辺の事はあまり気にしなくてもいいのでは?」

「それがそうでもないんですよ……」



 俺は幸さんに今の状況を伝えた。えっ! もうそんなに使っちゃったんですか! っていう言葉が胸に刺さった。



「じゃあ、薬草を買うしかないですね。今の佐々木さんのステータスだと、下手したらスライムの攻撃数発でジ・エンドです」

「ですよね……。あの体液を飛ばすスライムがまた出たら、ヤバいです」

「体液を飛ばすスライム! 佐々木さんもしかして、そのレベルでガンスライムを倒したんですか!!」



 幸さんはいきなり大声を出した。その声の所為で体がビクンとしてしまった。俺おっさんなのに恥ずかしい。



「ガンスライムっていう名前は分からないんですけど、多分それです。そいつの所為でさっきの2人がやられて……」

「それはそうなりますね。ガンスライムは【ぷよぷよ】の4階層が主な生息地のモンスターですから。レベルでいったら大体10位の敵です。稀に弱い階層でも突然変異で強いモンスターが現れるらしいんですけど……。これはついてなかったとしか言いようがないです」


 レベル10。俺の倍以上の敵だったのか。通りで強いはずだ。まともにあの攻撃を喰らってたら間違いなくやられていた。



「じゃあ普段はあんなモンスター出てこないってことですよね?」

「はい。多分今ダンジョン内は比較的安全かと思います」

「あの気になったんですけど、俺達を監視してポイントを付与してるわけじゃないんですか?」



 俺はてっきり受付嬢の方、或いは他の誰かがダンジョン内を観察してポイントを付与していると思ったがどうやら違うみたいだ。



「違いますよ。そんな事をいちいちしていたら私たちの方が倒れちゃいます。ダンジョンに行かれた人の戦績や功績はその行かれた人の魂に記憶されます。それをここに戻ってくるとき、あの円状のステージ、エントランスホールの機能で読み取って情報を受付に送ってるんです」

「そういう事だったんですか」

「だからこうやって暇な時間は割と自由なんですよ。特に私みたいに夜勤組は暇で、暇で……」

「夜勤?」



 俺は幸さんの夜勤という言葉に引っ掛かった。



「そうです。今は夜だから人も少ないという事です」



 夜、という事はもしかして……。



「ショップって今の時間でも空いてるんですかね?」

「今はどこも閉まってますね……」




 俺は八方塞がりというのを身をもって痛感した。じゃあ一体どうすればいいんだよ。



「どうしてもっていうなら、私、なんどき用で下位ポーションをちょっとお高めですけど販売してまして。いかがですか?」

「マジですか?」

「はい。特別に1個20ポイントでどうですか?」



 幸さんの足元を見るにこやかな笑顔。俺は仕方なく幸さんが取り出したカードリーダーのような機械にカードを当てた。



「毎度ありがとうございます!」

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