第6話 帰還

「たくやっ! ゆうじっ! 起きて! 起きてよ」

「危ないっ!」



 スライムは体から女性目掛けて何かを飛ばした。危険を感じ取った俺は女性を弾き飛ばしながらその攻撃を避けた。



「たくやっ! ゆうじっ!」

「落ち着いてください! 今は目の前の敵に集中を!」

「たくやっ! ゆうじっ!」



 俺の声に全く耳を傾けようとしない女性。まずい。錯乱状態に陥ってる。



 びゅっ!!



 再びスライムが何かを飛ばした。倒れている2人がこれにやられたのは、何となく察しがつく。やっぱり当たったらまずい!

 俺は、女性の頭を掴み、無理やりかがませた。避ける事は出来たが、掠った服がスライムの攻撃の威力で割けてしまった。



「正気に戻ってください! このままじゃ俺達もやられますよ!」

「たくや……、ゆうじ……」

「いい加減にしろっ!」



 ぱぁあんっ!



 俺は女性の頬を引っ叩いた。女性に手を出すの何て初めてだ。罪悪感が凄い。



「わ、私……。貴方は?」

「いいから! その二人を連れて戻ってください!」

「でも……」

「俺もすぐに行きますから! 早く!」

「はい! すみません……」



 女性は男性二人を引きずり、円盤状のステージのある所まで向かって行った。すると、スライムは逃げる女性を追うように移動をし始めた。



「おいっ! こっちに来い!」



 俺はポケットから割りばし鉄砲を取り出すと、弾を装填し、スライム向けて発射した。弾はスライムの体を掠めた。掠めた部分が抉り取られたようになっている。やはり攻撃がそれなりに効いているようだ。



 プルンプルン。



 標的を女性から俺に変更したのか、スライムは俺の顔をじっと見つめて動かない。スライムの目は、先ほどの個体とは異なり、殺気に満ち満ちている。

 俺はもう一度弾を装填し、放つ。スライムはそれに合わせるように、何かを飛ばす。



「相殺した……」



 俺の放った弾丸とスライムの攻撃がぶつかり合い、消えた。威力はどうやら互角のようだ。



 びゅっ!!



 今度はスライム側から攻撃を放ってきた。どうやらこのスライム打ち合い合戦をご希望のようだ。なら、こっちもそれに付き合ってやる。

 俺は急いで弾を装填し、引き金を引く。またもや互いの攻撃は消える。その時俺は、スライムの体を見てあることに気付いた。



「体が小っちゃくなってる……」



 スライムの体が小さくなっていたのだ。攻撃する度に小さくなる体。スライムが何を吐き出していた物の正体がようやく分かった。



「こいつ、自分の体液、体の一部を使って攻撃してたのか……」



 思いもよらない、背水の陣。こいつも生きることに精一杯なんだろう。だが、俺の方が生きたい。生き返りたい。

 俺は走って近くの木の枝を2本もいだ。



銃作成クリエイトガン



 2本の枝が再び割りばし鉄砲に姿を変えた。ただ、今度の割りばし鉄砲はちょっと違う。



 びゅっ!



 再びスライムは俺に攻撃を放った。俺は慌てて新しい割りばし鉄砲に弾を装填して引き金を引く。弾は案の定相殺される。しかし、ここからが今度の割りばし鉄砲の真骨頂だ。

 攻撃の反動で一瞬だけ動かなくなるスライム。だが、俺の攻撃は終わってない。



「あたれぇぇえええ!!」



 一つ目の弾の後ろに隠れていたもう一つの弾。今度の割りばし鉄砲は2連射が可能なのだ。

 動かないスライム目掛けてもう一つの弾は真っすぐに飛び、そしてスライムの体を弾き飛ばした。当たりに散らばるスライムの破片。俺はその破片を弾に変え、急いで円状のステージ、いや、帰還口に向かった。



「帰還します! 早く戻してください!」



 俺の身体は光に包まれゆっくりとダンジョン【ぷよぷよ】から消えていった。

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