第5話 悲鳴

 よし! 伸びる! これをここに付けて……届くか?

 


 俺は割りばし鉄砲にスライムの体液で出来た青色の輪っか、もとい弾丸を装填する。弾丸は思いの外伸びるし硬い。だが、有効打になるのかと言われれば不安な事に間違いはない。



 プルン。プルン。



 やや速度の落ちてきたスライム。俺は片目を閉じてその青い体に照準を合わせる。しかし、走りながらだとこれが結構難しい。



「いけぇっ!!」



 願いを乗せた弾は勢いよく放たれた。その速度は想像の何倍も速い。一つの個体として追う事は出来ず、一筋の青い閃光にしか見えない。


 

 ぱぁあああん!!!



 弾丸が見事に命中するとスライムの体は勢いよく弾け飛んだ。凄まじい音とあまりの威力に開いた口が塞がらない。



「やった……」



 モンスターを倒したという実感が溢れる。嬉しい。だが、スライムでこの強さ……。ゴブリンの部屋を選んでいた場合の自分を想像すると背筋が凍るようだ。

 俺は取り敢えず弾け飛んだスライムのところまで走る。



「弾丸作成(クリエイトバレット)」



 飛び散ったスライムの身体に手を当てスキルを発動させる。すると先ほどの弾丸が10個ほど出来た。これで次の戦闘は余裕が出来るだろう。



「そういえば、ステータスどうなったかな?」



 俺はカードをポケットから取り出して自分のステータスを確認する。これだけの戦闘を終えたんだ、それなりに期待しちゃってもいいだろ。


―――――――――――――――――――――――――――――――――

名前:佐々木重一(ささきしげかず)

年齢:30

性別:男

レベル:2

HP:6/12

攻撃力:4

防御力:4

耐性:無し

スキル:ガンスミスLV1(特定の物体で銃や弾を作成できる)

保有ポイント:0

―――――――――――――――――――――――――――――――――


 レベルが1上がっていた。おそらく最初の方はレベルがそれなりに上がりやすくなっているのだろう。ただそれなら一気に3とか4位上がってほしいところではあるが……。



「おおっ! ここが【ぷよぷよ】か。思ってたより綺麗な所じゃん」

「ねえ! 私ここ気にいっちゃったかも!」

「なあ、なあ二人とも早くスライム探そうぜ! ドラ●エみたいなの出てきたらヤバいテンション上がるんだけど!」


 騒がしい声が遠くから聞こえた。おそらく他の飛行機に乗っていた人達だろう。

 


 人数は3人かな? そうかパーティーを組むっていう方法もあるんだよな。

 


 俺は、現実の世界で銃器整備士として働いていた。専門的な職業だった為あまり、人と協力して何かをするという仕事が少なかった。その延長線上で考えていた所為で、パーティーを組むという発想がすっかり抜け落ちていたみたいだ。

 取り敢えず、仲間がきたという安心感を得た俺は、声のする方にゆっくりと歩く。もしかしたら仲間と思っているのは俺だけかもしれないけど……。



「きゃああああああああああああ!!!」

「やめろ! こっちに来るな!」



 さっきまでの和やかな会話ではない。遠くにいるせいで三人が何をしているかよく見えないが、恐らくモンスターに襲われているのだろう。

 俺は、声の方へ急いで走る。それにしてもさっきのスライムとの戦闘でこんなにも移動してしまってたなんて……。息をするのが苦しい。流石に30を過ぎていきなりこの運動量はキツイ。それに俺スーツだぞ。




「きゃああああぁぁあああ!! 起きて! たくやぁああ! ゆうじぃいいいいぃぃぃ!」



 その場に着くとさっきとは比べ物にならない位の迫力のあるスライムが一匹と腹部から血を流し、動けなくなっている男性2人に声を掛ける女性の姿があった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます