第3話 【ぷよぷよ】

「それではこれより各自、異世界迷宮都市でのダンジョン攻略に励んでください。あっ! ダンジョンに行かれる際は必ず窓口に伝えてください。そうしないとペナルティとしてポイントの減小、場合によってはダンジョンへの侵入を規制させていただく可能性がありますので。それではよいダンジョンライフを!」


 幸さんはそういうと受付のカウンターの中に戻っていった。俺は幸さんの一言を忘れることにして、取り敢えず自分のカードを確認した。


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名前:佐々木重一ささきしげかず

年齢:30

性別:男

レベル:1

HP:10

攻撃力:3

防御力:3

耐性:無し

スキル:ガンスミスLV1(特定の物体で銃や弾を作成できる)

保有ポイント:0


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 保有ポイントは0。ゲームとかだと最初に少しだけお金を貰えるものなのだが、どうやらそんなに優しくはないらしい。とにかくポイントがなければ飯も住むところの確保も出来ない。俺は迷わず受付カウンターへ進む。あっ、あとスキル早く使いたい!



「あっ! もうダンジョンに行かれるんですね。それでは、最初に行けるダンジョンを御案致します」

「お願いします」

「まず、スライムのみが出現するダンジョン【ぷよぷよ】、ゴブリンのみが出現するダンジョン【ざわざわ】、お化けキノコのみが出現するダンジョン【わさわさ】。これが貴方様が行けるダンジョンになります。【ぷよぷよ】と【わさわさ】はポイントが低い代わりに攻撃力の低いモンスターが出現します。逆に【ざわざわ】は最初に選べるにしてはポイントを多く得られるダンジョンになってます。ただし、統率のとれたゴブリン達は今の段階ではかなりの強敵になるはずです」



 【ぷよぷよ】とか【わさわさ】とか緊張感の名前だ。だが、いかにも初心者向けという名前の気もする。



「んー。じゃあ【ぷよぷよ】でいいですか?」

「かしこまりました。それではダンジョンに転送致しますので、こちらに来てください」



 俺は幸さんに案内されてカウンターの中へ。ゆっくりと奥に進むとそこには大きな円盤状のステージのようなものがあった。眩しいくらいにライトで照らされたそこに俺は案内されるがまま乗る。



「では、ダンジョン【ぷよぷよ】にお送りいたします。ダンジョンの一階層付近に小型ですが同じような場所が用意されてますので、帰還される際は、その上に乗って私達を心の中で呼んでください。それではいっきますよ!」



 幸さんはスーツのポケットから大きめのサングラスをかける。その光景がちょっと面白くて、吹き出しそうになる。



「3、2、1、ゼロ」



 幸さんのカウントが終わると俺の視界は白い光に包まれた。眩しさから思わず目を瞑る。



「ここが……ダンジョン?」



 光が消え、段々と外の明かりに馴らしながら俺は目を開けた。ダンジョン。俺のイメージだと洞窟や森の中みたいな暗い雰囲気の場所だったが……。



「綺麗だ……」



 その光景に俺は言葉を漏らす。辺り一面の緑。照り付ける優しい光。ところどころに生えている低い木。都会の喧騒の中とはま反対の世界。広い草原に吹く、少しだけ冷たい風が頬を掠める。



「すうぅぅぅうううぅうう……。はぁああああぁあああああ……」



 深呼吸が心地良い。俺は一瞬だけ、自分の置かれている状況をっ忘れ、その場を堪能してしまった。



「そうだ……。スキル、早速スキル!」



 深呼吸でリフレッシュされた頭がスキルの事を思い出す。確か、特定の物体で銃を作れるんだよな?

 俺は、木の元まで駆け寄ると、枝を一本折った。スキルの発動のさせ方がいまいち分からないが、取り敢えず木の枝をギュッと握り、それらしい言葉を心で叫ぶ。



 銃作成クリエイトガン

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