鬼狩り神三郎

作者 油布 浩明

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★★★ Excellent!!!

 油布 浩明様と知り合ったのは令和元年12月。まだ1ヶ月ほどですが、油布様のイメージを述べてみます。
 真面目で誠実、相当な理論家。そして、かなりの頑固者!
 私は、親交のある敬意を表するに値する作家様に対して、『〇〇先生』と先生を付けてお呼びすることが多いのですが、それを三度も断ってきた方です。
 カクヨム作家同士の馴れ合いによって、向上心をなくすのを嫌ってのことのようですが、リンダ困っちゃう★ 先生呼びは楽なんですよね〜。他の方々は、一度、二度断っても最終的には受け入れてくれたのにさ〜。サクッ、っとプロの小説家になって先生呼びさせて下さいね♡

 さて、その意識の高さは、本作においても遺憾なく発揮されています。
 油布様独自の設定による世界観。
 人間は自らの身体を鬼神に食わせることによって鬼神と契約を結び、鬼神はその契約によって拘束される。
 なんですか、この痛そうな設定は? けれども、本作ではその設定が見事なまでに生かされています。
 昭和48年の9月が物語のスタートと古そうに見えるんだけれど、ほぼ式神の紫苑ちゃんは『のじゃロリ』、休みなく働かされている八咫烏さんはエッチと、若い人にも受け入れられる素地は充分にあると存じます。
 八咫烏さんの性癖は絶対、油布様由来だと思うんだけれど否定されてます。はい、そういうことにしておいてあげます♪ 大丈夫ですよ、殿方のそういうのはわかってますから♡
 本作は『女性』がひとつのテーマに挙げられていて、主要登場キャラクターの、涼子ちゃん、紫苑ちゃん、佑子さんに志穂ちゃんと、みんな強い♀
 4人に共通するのは心の強さですね。

 鬼神に身体を食わせ鬼神と同化した志穂ちゃん救出を目的として、物語が動いていきます。
 神三郎さん、紫苑ちゃん、佑子さんに涼子ちゃんと、それぞれに目的が違っていて、紫苑ちゃんの父の仇が現れたり、国家側の陰陽… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

舞台は経済成長期を迎えつつある昭和時代の日本。
戦後から数十年が過ぎて繁栄しはじめる社会の影で、異世界から人間の欲望につけこんで契約することで顕現する鬼が跋扈し人を食い殺していた。

女子高校生、涼子は鬼と化した親友に襲われたところを隻眼にして隻腕の探偵、神三郎に助けられる。
彼は少女の式神を従えて、人知れず鬼を狩る仕事をしている人間だった。

現実社会を舞台に超常的な出来事が起こり、それに相対する人間ドラマが描かれる。いわゆる伝奇ロマンというジャンルです。

恐ろしい存在として鬼が描かれる一方で、式神を都合の良いように使い主人公を疎む利己的で醜い人間も現れます。
そういった凄惨な設定の中で「何故主人公が鬼を狩る宿命を背負っているのか」や「主人公と式神の紫苑との関係性」が血の通った登場人物の心の交流として生き生きと描写されています。

文体も読みやすく最後まで楽しむことができました。

★★★ Excellent!!!


 異界から現世に入り込んだ鬼が、人を喰らう。そんなことがあるらしい。奴らにとって人間は、ただの餌。その餌を喰らうごとに奴らは力をつけ、ますます強大になってゆく……。

 物語の舞台は昭和四十八年。日本の高度成長期。そんな時代に、鬼と、鬼に大事な人を奪われた人間、そしてその鬼を使役して鬼を狩る異形の者たち。そんな彼らの活躍を描いた物語が本作である。

 強大な化け物が人間を喰う描写。そして、その鬼以上に恐ろしく醜い人間たち。華々しい景気の陰で蠢く闇と、渦巻く人間どもの欲望。
 醜いものから目を逸らさず、かといってその狂気に振り回されることなくそれらを淡々と描写し、その中で人の強さ、美しさ描きつつ、生きる意味を問う。そんな本作は、ちょっとイマドキの若い人には受けないかもしれない。
 いや、案外一周回って受け入れられたりするのだろうか?

 ただ、昭和の時代を生きてきた、ぼくなんかからすると、本作の雰囲気、そこに描かれる器物や論理などは懐かしく、また強烈なグロテスクさやあからさまな暴力も、いかにもその時代という感じであり、極めて居心地の良い作品世界であった。

 不気味にしてグロテスク、狂気と恐怖と暴力。そんなものを淡々と描きつつ、登場人物たちの人間性というものを丁寧に描いている本作。若い方には勧めづらいが、ぼくはその雰囲気、作品世界を十分に堪能させていただいた。そして読み終えたとき、びっくりして周囲を見回し、ここが令和の時代であることに驚きを感じたほどだ。
 もしかしたら、昭和という時代は、われわれにとって新しいフロンティアなのかもれしない。そして本作の主人公・鬼狩り神三郎は、その荒野を切り開く孤高の開拓者なのかもしれない。そんなことをふと思った。

★★★ Excellent!!!

昭和48年、9月。残暑がまだ残るころ。
猟奇殺人事件が起こり世間が騒がしい中、放課後、親友の志穂と帰っていた女子高校生の涼子は、知らぬ間に非日常に迷い込んでしまう。
そこで出会ったのは、隻眼、隻腕の探偵となのる男・九十九神三郎。

涼子は彼から、今夜のことは誰にも告げるなと忠告されるが……。

伝奇小説という言葉がぴったりの作品です。昭和のレトロな感じがまた、いい雰囲気を出しています。
内容は結構ショッキングなことが書かれていたりするのですが、作者様の端正な筆致のせいでしょうか、私は特に嫌悪感など感じずに読み進められました。

出てくる登場人物が、ちゃんと一本、芯を持っていて素敵な方が多いのです。そのおかげもあるかもしれません。

個人的に好きなのは八咫烏さんです( *´艸`)
中盤まで出てきませんけれども(苦笑)

今作は完結していますが、物語はまだまだ深く広がっている余地を残しています。
いつか続編が書かれることを今から心待ちにしています!(≧▽≦)

★★★ Excellent!!!

舞台は昭和。
登場するのは「鬼」とそれを「狩る者」たち。
それだけでもう、1980年代にブレイクした伝奇ロマン物が好きな人間には堪らない設定だ。

そしてまた、文章と展開の妙に唸らされる。
多くを語り過ぎず、しかしながら不必要な謎は残さない。
気が付けばもう、作者様の掌の上で踊らされるように物語に没頭している自分がいるわけだ。

読んでいて不満に思うことはただ一つ。
「更新はまだなのか!」
これだけだ。
(今のところ、毎日二回も更新してくれているというのに)


伝奇ロマン物が好きな人ならば、間違いなくハマりまくると、私は思う。

一緒に最終回まで楽しんでくれる読者が少しでも増えてくれるよう、願わずにはいられない。