第3章 第2話 お披露目会
ひと月が過ぎ、やっと私達の家が完成しました。
木造の地上2階、地下1階で、1階部分はキッチンとリビングがメインで客室が3つ、2階には私達の個室が12と倉庫・予備部屋があります。
個室は要望により防音となりました。
地下は4部屋で1つは湖の水を利用した冷蔵室、1つは食糧庫、2つは未定です。
私達6キャラの部屋は全部は使わないでしょうから、実際は倉庫になるでしょう。
併設された作業場は石造りで高さ6メートル、奥行き15メートル幅10メートルあり、各種生産系の作業が出来るようにしました。
いいですね、大工スキルに家屋作成が加わったので、材料さえあればこの大きさでも僅か30日で完成できるのですから。
みんなにも手伝ってもらいましたのも大きいですね。
そうそう、以前から少しずつ教えていたリアの錬金術ですが、各種ポーションが作成可能となり、さらに治療キットも作れるようになりました。
これで1枠はリアに任せられます。
ベネットの治療スキルも順調なので、近いうちに任せられるでしょう。
さて、残念ながら今日はのんびりは出来ません。
そろそろ皆さんが到着するころでしょう。
「はぁ~い、あーら、素敵なおうちじゃない」
「しずかさんしずかさん、私も来ちゃいました!」
冒険者ギルドから
「うぅ~わぁ~、おっきぃねぇ~。私達もこんな家つくるぅ~?」
「ばっか、こんなでっかいのはいらないっての」
「俺達が家を建てる時はしずかによろしくだな!」
「こんにちわ。私達もご相伴にあずかりに来たわ」
「でっかい! 広い! 俺もこの家に住む!」
元アズベルパーティーのメンバーです。
どうやら本気で家を欲しがっているようですね。
これは余談ですが、大型の盾を持つフレディと短剣の女冒険者ケンタウリが、小型盾のアルファと回復役の魔法使いクリスティの2組は婚約しました。
若手の両手剣を使うロバートは意中の人は居るらしいのですが、まだ付き合ってはいないのだとか。
「ほっほっほ、これは素晴らしい家ですのう」
「この広さなら船も作れそうだわい」
船大工のご老人、背が高く細身、白髪でヒゲはなく、目が細く杖を持った方がニコライさんで、背が低く筋肉質、髪は無く白いあごひげが伸びたご老人はジャックさんです。
「ほほー、ここがアセリアとユグドラの愛の巣か。お前ら邪魔するんじゃねーぞ!」
コレオプテールの店長、リーさんです。髪は無く身長も横幅もある方ですが、どうやら全身筋肉の様です。
他にも依頼を一緒にこなした冒険者や鍛冶屋、各種ギルドの面々が来てくれました。
私の知り合いが多いかと思いましたが、意外と(?)ユグドラの知り合いが沢山いますね。
共通の知り合いもいますが、半分はユグドラを慕って来てくれた様です。
ちょっと意外でした。
そしてやはりというか、沢山の貴族の代理を名乗る方も来ました。
こういうのは面倒なのでお帰り頂こうかと思いましたが『貴族の贈り物を送り返すのは顔に泥を塗るようなものよ』とベネットに言われ、しぶしぶ受け取りました。
遺恨を残すと余計に面倒な事になりそうですし。
新築のお披露目も進み、夜も更けた事でお開きとなりました。
ブラスティーと戦った面子は客室にお泊りいただき、今は酔ってぐっすり眠っています。
この隙に私は作業場に来ました。
作業場は戸を閉めると完全防音になるので、夜でも作業が可能です。
とは言え流石に鍛冶仕事をすると音が漏れますが、精々フクロウの鳴き声程度でしょう。
ブラスティーにはすでに渡しましたが、アダマンタイトの加工をしています。
最初に貰った鉱石で金槌を作り、大剣を作って渡しました。
この金槌を作るために専用の加工具を作り、新たに魔法付与しまくった金槌を10個つぎ込み、それらを全て壊れるまで使い込んでやっと出来ました。
鍛冶スキルがガン上がりです。
このアダマンタイト、重さは普通の鉄と同じ程度ですが、硬度が高く魔法の付与もしやすく、さらにマイナス効果がほぼ付きません。
私が使っていた少々質のいい金属の武器は、無理やり魔法効果を付与していたため必ずマイナス効果が付きました。魔法を帯びた金属を使うとこれほど違いがあるのですね。
今作っているのはユグドラのバトルアックスです。
以前の物はブラスティーに深い傷をつけられ、もう戦闘に耐えることが出来ません。
うん、こんなものでしょうか。
新しいバトルアックスは三日月の様な刃で、反対側には同じ重さのハンマー、そして先端には槍の様なトゲを付けました。
魔法付与も各ステータスアップに各種耐性アップ、これだけでもとんでもないのに、さらに魔法攻撃力までアップされる代物です。
……強過ぎませんか? ブラスティーに渡した大剣も似たようなものでしたが、これクラスのアイテムが氾濫するのは危険なような気がします。
渡す相手を考えないと、これ自体が争いの元になってしまいます。
「仕事中ですか?」
リアが入ってきました。手に持ったトレイには紅茶とお菓子が乗っています。
「いま終わった所です。いいモノが出来ました」
「わ、見せてもらっていいですか」
「ええ、どうぞ」
お盆を私の横のテーブルに置き、斧を眺めています。
以前の斧と形が似ていますし、さほど驚いてはいないようですね。
「音がしなくなったけど、終わったのかしら?」
今度はベネットが入ってきました。
手にはトレイが持たれ、同じく紅茶とお菓子が乗っています。
「ふふっ、終わった所です」
同じく斧を眺めていると、後から後から人が集まり、結局いつもの6人が揃いお茶会となりました。
何でしょうね、このほんわかとした時間は。
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