第2章 第38話 ユグドラを撃退する王女
「ねえねぇ! 交代するってどんな感じなの!? 女性の時は男性が好きなの!? それとも両方!?」
俺の横に座るクローチェ王女の質問は、中々に答えにくい物が多かった。
興味津々なお年頃なのはわかるけど、俺の足に両手を乗せて、顔がくっ付きそうな勢いで聞いて来るからドキドキする。
反対側にはリアが座って、俺の腕を抱きかかえている。
怒ってはいないけど……チョット
「基本的には男がメインなので、女の時だからって男が好きにはなりません」
「へー、じゃあじゃあ、女同士なの? ルリ子としずかでもアセリアと夫婦なの!?」
「いえ、リアとは姉妹みたいな関係になります」
正面に座っている2人! 具体的にはベネットとエバンス! ニヤニヤするな!
あと
「じゃあじゃあ! 一番強いのは誰! やっぱりルリ子!?」
「それぞれの得意分野があるので、一概には言えません」
こんな感じで色々聞いてきて、流石に疲れたから話しを終わりにしたいなーと思ったら。
「ふ~ん、じゃあユグドラが1番弱いのね」
とかほざきやがった!!
王女でなければお仕置きするところだ。
流石の俺でも顔が引きつっていたようで、ベネットとリアがフォローに入った。
「ゆ、ユーさんは4つ首のドラゴンを1人で倒してますから、決して弱いわけでは無いんです!」
「そうよクローチェ、そもそも
「えー? じゃあじゃあ、ラスティとはどっちが強いの? やっぱりラスティよね!?」
全員が首をかしげている。
俺だけじゃなくて安心した。
「だ、誰ですか? ラスティって」
「ラスティはラスティよ。ウチの騎士団副団長よ」
副団長ってブラスティーだろ? ラスティって……あ、愛称なのか?
ブ『ラスティ』-って事か。
王女様とブラスティーは仲がいいのかな?
てか今このタイミングで聞かれるとすんごい困るんですけど!
「さあ、それは戦ってみないと分かりませんね」
「ラスティはすっごく強いから、ユグドラも指導してもらうと良いわ!」
ええ、ええ、指導してもらいますとも近いうちにねぇ!
事情を知らないとはいえ、このお姫様嫌いだぁ!!
ほんとどうしよう、メンタル強い奴に交代しようかな。
でもルリ子だったらヤってしまいそうだし、番長かしずかだな。
ここはひとつ、実は怒らせたら1番怖いしずかにしよう。
キャラクターチェンジ
ユグドラ
ルリ子
⇒しずか
番長
ディータ
メイア
◆ ユグドラ ⇒ しずか ◆
体が薄く光り、自分の姿がゆっくりと変わっていく。
黒いショートパンツと黒いストッキング、白い長そでシャツに茶色のチョッキ。前髪は切りそろえられ、首の後ろで髪を雑にまとめている私、しずかの登場です。
「わ! わ! しずかに交代したのね! ねぇねぇしずか! 鍛冶屋って―――」
「静かにしないと馬車から降ろしますよ?」
ワザと無表情でクローチェ王女に伝えると、ビックリしたのか無言になりました。
ユグドラはメンタルが弱すぎますね。
とはいえ、このお姫様もズケズケ聞きすぎです。
「しずかさん、ユーさん大丈夫?」
「少々参っていますが、しばらくしたら復活するでしょう」
「しずかのままでチグリフォーンまで行くのかしら? 戦闘時は交代する?」
「相手にもよりますね。さほど強い相手でなければ連携の練習にもなりませんし、ユグドラが出るまでも無いでしょうから、私のままでいます」
そうこうしている内に夜になり、アズベルとアニタ、ベネットとリアが組になって交代で見回りをする事になりました。
ここまでの道中は平和(一部被害あり)でしたが、流石に夜はそうはいかないでしょう。
さて、護衛対象も護衛対象なので、私も準備をしましょう。
「ゲート。来てゴーレム」
高さ2メートル、幅1メートルの青く光る楕円形が2つ現れ、中から機械の人形が現れました。
ゴーレムの高さは2.5メートル、幅1.5メートルあり、武骨で飾り気のない金属鎧の姿で、腕は地面に着くほどに長く太く足が短い。
関節部分からは時々歯車が見えて、顔の部分には赤いカメラの様なガラスが中心から左にずれて付いている。
この2体のゴーレムは私が作った物で、動きは早くありませんが、力と防御力は素晴らしいです。
「このゴーレムは私のいう事を聞きますので、馬車の護衛をやらせます。なので休憩中は心置きなく休んでください」
おや? 皆さんどうしたのでしょうか。動きが止まっていますね。
……あ、初めて見せましたかゴーレム。
「お、おお、おお~、そんな機械も作れるのか。スゲーなしずか」
「しずかさん、この子って魔法を使えるんですか?」
「わー! なにコレおっもしろ~い! 遊んでいい? 遊んでいいよね!?」
「魔法は使えません。あと、遊び道具ではありませんからダメです」
「はーい」
ゴーレムのお披露目で騒がしかったせいか、続々と何かが集まってくるのが分かります。
大型モンスターが数体と、普通のサイズが沢山。
丁度いいですね、私は見物していましょう。
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