第51話 騎士の弱点は真ん中にある玉

 えーっと、こっちがこうでここがこうで、あっちは……こんな感じかな?

 1階部分のマッピッピが完成した。

 部屋は4部屋あって、入り口の部屋の両脇に1部屋づつ、入り口の右前方に1つ。


 遺跡の大きさは横幅50メートル、奥行きは100メートルはあったから、どこかに隠し扉かテレポーターが設置されてると思う。

 例外的には地下や2階から迂回しなきゃいけないやつ。


 罠っぽい罠は無かったし、壁とか床を調べてたら怪しそうなところがあったから、ソコをもう一度調べよう。

 入口右側の部屋に入って、一番奥へ向かう。

 反対側の部屋は入り口の部屋と同じくらいの大きさだけど、ここは少し短い。

 何かありそうなんだよね~。


 一番奥の壁に手を当てて横に移動していく。

 う~ん、特に材質が変わるとか段差があるわけじゃないな~。

 魔力反応も無いし。


 となるとコレかな?

 壁の一番隅っこの一番下、1か所だけ他よりも長いブロックが使われてる場所がある。

 半ブロック分長いけど、足で蹴ってもただのブロックだったから後回しにしてた。


「あーどっこいしょ。って、乙女にアルマジロ掛け声! 実年齢がバレちゃうよ!」


 しゃがむときについつい声がでちゃった。

 3〇歳だなんて言ったら引かれちゃうからね!


 しゃがんで見たけど、長い以外には特に何もなさげ。

 お? 上に乗ってるブロックとの間に少し隙間があるね、⊥になってる所。


「何か細いものはないかなっと、あった!」


 と言っても常備してる針金なんだけどね!

 針金を隙間に差し込んで、中をまさぐりまさぐり……おおっ! これはぁ!?

 

「中心になんか出っ張りがあるね~、コレを押してみたら……よいしょ」


 壁の向こうで何か硬いものが落ちる音がした。


「わ、な、なに? 私やらかしちゃった?」


 そして何かがぶつかり合う音がして、地響きと共に壁が上に移動していく。

 そして向こう側に2階への階段が現れた。


「さっすが天才ディータちゃん! 私にかかれば遺跡なんて超簡単だね!」


 ルンルン気分でスキップしながら階段を昇ったけど、足を踏み外して転びそうになった。


「あぶっ! あ、あぶな! す、スキップで階段を昇るのは止めた方が良いかも?」


 階段についた手をはらい、1人前のレディーとして優雅に階段を昇った。




 さてさて2階ですが、ここには松明たいまつが無いし真っ暗だ。

 暗視ナイトサイトの魔法を使って見えるようにしたけど、だだっ広い部屋が1つあるだけだった。


「モンスターいないし、祭壇みたいなのもないし、何の部屋?」


 2階に入って調査を開始しよう。




 2階最初の部屋はただの広い部屋だったから、さっさと次の部屋に行こっと。

 扉なんかは無くって、アーチ状の出入り口があるだけだった。

 廊下に出たら左右に通路が伸びていて、何か所かにココと同じアーチ状の入り口が見える。


「ん~? ま、順番にみていこっか」


 取りあえず通路が短い右側からレッツゴ!

 1つめ、何にもない。2つめ、何にもない。3つめ、何にもない。

 4つめ、何にもないジャン! 


「もう! もっと何かあってよ! せめて罠とか祭壇とかモンスターとかお宝とかお宝とか!」


 4つめの部屋を出て、先に進むと道が左に直角に曲がってる。

 左に曲がると広い通路になってた。そして……そして!

 

「きゃぁ~~~! 騎士の石像だ! いっぱいの騎士の石像が剣を構えてる! トラップだね! 間違いなくトラップだね! ばれっばれジャン! こんなの引っかかる奴いんの!?」


 いろんな構えをした騎士の石像が通路の両脇に並んでた。

 あーっはっはっは、おっかし、どこどこ? 罠の始動キーはどこ?

 あったあった、床のブロックを踏んだら動き出すんだね、ん~~~~~定番!


「いいねぇいいねぇ、お姉さんこういうの嫌いじゃないよ。えい」


 床のブロックを踏むと、石像の色が変わり、金属の鎧をまとった騎士たちが私に向けて動き出した。

 1、2、3、4……12体か。


「さあさあ、どこからでもかかってきなさい!」


 ケンポーの達人っぽいポーズを取って、手首でクイックイッと手招きした。

 騎士が襲い掛かってくるのを待ってるけど、歩くの遅くね?

 ガシャンガシャンと音だけは勇ましいけど、遅い! 遅すぎる! そんなんじゃ夏休みの宿題終わっちゃうよ!


「萎えた」


 ケンポーのポーズをやめて、歩き始める。

 剣を振るのは速いかもだけど、もういいや。


 最初の騎士が剣を振り下ろす。スッと前進して騎士の胸に手を当てる。


魔法の矢マジックアロー


 矢は騎士の胸を貫通して天井に刺さって消えた。

 近くで見るとデッカ! 2メートル以上ある。

 

 次は両脇から2体が突きと横凪をしてきた。左に飛んで突きを避け、横凪をした騎士の腕を昇って顔に手を当ててマジックアローを発動・兜が吹き飛んだ。

 倒れる前に突きをした騎士に飛び移り、今度は頭のてっぺんから下に向けてマジックアローを使った。


 突きをしたポーズのまま前に倒れ込んで、地面に当たると同時に粉々に砕け散った。

 他の2体は頭が無くても胸に穴が開いても動こうとしている。


 魔法の遠隔操作じゃなくってコアがあるやつ? 正中線かな。

 正中線……男の弱点……キン〇マだね!


「ハッ! いけないいけない、乙女がキンタ〇なんて考えちゃダメ!もっと恥じらいを持って。きぃやぁ~、こわいいー」


 両手で顔を覆って、チラッ、もう一度覆ってチラッ。


「バカみたい。やーめた。弱点が分かれば悩む必要なんてないよね! どんどん潰しちゃおうね!」

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