第21.5話 別室4
「なに? あの戦士がまた現れただと」
「はっ、アグレスからエリクセンへ向かった所を発見しました」
薄暗い部屋の中で、窓の外を眺めていた髪の長い男に、全身黒ずくめの者が片膝をついて報告をしている。
考えるように右手を
「それであの男はどうした」
「なにぶん突然現れましたので、用意していた集団を差し向ける先がずれてしまい、近くでキャンプしていた馬車群を襲ってしまいました」
「あれには前準備が必要だからな、失敗か」
「いえ騒ぎを聞きつけて男が参戦し、1人でオーガ5匹を倒しました」
「ほぉ、やるではないか。
「それが怪我人は出ましたが死者は出ず、怪我人もあの男が治療して完治しました」
「なんだと!? あれはしっかりと訓練された奴だ、冒険者風情が……あの男が倒したのか?」
「狼を倒したのは他の冒険者です。ただし護衛のリーダーはアイツです」
「チッ、またしてもアイツが居たのか。無自覚に邪魔をしてくれるな」
舌打ちをして顔を歪ませる。
足を組みなおして背もたれに体重をかけて天井を眺めた。
「仕方がない次の手を打とう。あの男の次の動向は調べてあるのか?」
「アイツと共にワーウルフの討伐へ向かうようです」
「ワーウルフか……ではあいつらが使えるな。ワーウルフに合流させてあの男を殺せ。ついでにアイツも殺せれば一石二鳥だ」
「よろしい、のですか? あの御方からは我が陣営に引き入れるか、無理なら国外に逃がさない様にせよ、とのお達しですが」
「構わん。今はドラゴンテイマーの魔法使いと、副団長に匹敵するであろうアノ者の調査が優先だ。余計な物に気を取られるくらいなら殺して構わん。それにこれ位で死ぬのなら我らには必要が無い」
「はっ!」
頭を下げ、全身黒ずくめの者が闇に溶けるように姿を消した。
「まったく、あの御方はなぜあの男を気になさるのか。他の2人の方がよっぽど必要ではないか」
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