第17話・光の日記

 戦国アカデミーの初日を無事に終えて、光は自宅へ帰宅した。

 

「おかえりなさい!」


 服装や表情からも優しそうな雰囲気を持つ母親に出迎えられ、光は今日あった出来事を話しながら、リビングダイニングに向かった。

 何の魚か分からないけど、オープンキッチンから煮つけのいい匂いがした。 

 指定リュックを足元に置いて、光が洗面所で手洗いとうがいをする。

 すると、キッチンで夜ご飯の準備を進める母親が声をかけてきた。

 


「ご飯まで少し時間があるから、宿題でもしたら?」

「そうだね。そうする」


 光は返事をすると、リュックを持って自分の部屋へ移動した。

 ベースは白だが、赤と黒のインテリアが多い部屋。

 好きな色で統一すると、少し大人っぽい雰囲気になった。

 学習机の横にリュックを置いて、光は赤色の椅子に座った。


「今日は何か疲れたな~」


 慣れないことをしたせいで、精力を消費した。

 独り言を呟きながら、光は机の一番上の引き出しからゆめかわな絵が描かれた日記帳を出した。

 宿題をやる前に、日課の日記を書いてしまおうと思い、しおりが挟まっているページを開く。


 七月二十三日。晴れ。


 今日は戦国アカデミー初日!

 秀に内緒でクラスに入ったけど、想像してた以上におどろいていておもしろかった。

 一緒にいたノーブルって子が、始めは女子かと思ってムカついた!

 秀と蘭子のじゃまをしょうと思ったのに、何で別の女子と仲良くしてるの!? って思った。だけど、ノーブルって、実は男子だった。

 めちゃくちゃかわいい顔してるのに男子って、まじで驚いちゃった!

 やっぱり、ハーフってかわいくてずるいー!!

 そして蘭子。始めはライバルせん言するつもりで行ったのに、めちゃくちゃいい子でびっくりした!!

 不思議ちゃんのイメージはあんまり変わらないけど、学校と違って、話すとちゃんと話してくれるのにはびっくり!

 あんなにいい子なら、ライバル扱いするんじゃなくて、ちゃんと仲良くしてかなきゃね!

 せっかく友達になれたし、もーっと仲良くなりたい! 

 明日も戦アカに行くのが楽しみー!

 早く明日になーれっ!!


 と、書き終えた。

 光は満足そうな顔で、大事そうに日記帳をいつもの場所に戻した。

 日記を書き始めて、もう何年になるだろう?

 秀のことを意識し始めてから、何となく日記を書き始めた。

 明るくて、前向きで、みんなに優しくて、何より人を元気にさせてくれる笑顔を好きになった。

 幼なじみに『初恋』をしたのだ。

 そんな秀と過ごした日々が、日記に詰まっている。

 今では、十二冊目。

 一冊目を読み直すと、幼い文章に顔から火が出る。それでも、大切な思い出の一部で捨てられない。

 だけど、意中の秀は、蘭子が好きなようだ。

 態度を見れば、何となく分かる。

 蘭子とは、光も五年生で初めて同じクラスになった。

 お人形みたいに可愛い子。でも、不思議ちゃん。

 みんなが何となく空気扱いするから、光も周りに合わせていた。

 だけど――ちゃんと話してみると、蘭子は個性的で凄くいい子だった。

 心機一転。

 これからは周りに流されずに、蘭子のことをもっとよく知って、ずっと仲良くしていきたいと思った。

 恋の『ライバル』ではなく、『友情』を優先だ。


 ――ていうか、蘭子は秀のことを何とも思ってない様子が決めてだった。


 それが、一生の『親友』との始まり。


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