気になる子を追いかけたら中学受験

桃色音色

千里の道も一歩から。

プロローグ

 ――大学入試が変わる。


 最近よくニュースで耳にするセリフだ。


 小学生の俺には、そんな先のことなんてどうでもいいと思っていた。

 だって、今から大学生になる未来を考えたって、イメージがまったく湧かないからだ。

 だから、大学入試がどう変わろうが全く興味が持てないし、そんなの高校生になってから考えればいい話だと、俺は思っていた。


 大切なのは、『今をどう楽しむか』だ。


 今を生きる俺の放課後は、いつも遊ぶことで忙しかった。

 友達とお気に入りの公園に待ち合わせして、最初は決まって――何して遊ぶか? で絶対にもめた。

 それぞれ、「サッカー」「ドッチボール」「鬼ごっこ」「カードゲーム」「スマホゲーム」などなど……好きなことを言い合い。決まらないまま、ふざけたり、脱線して遊んだり――やっとこれだ! と、決まったころには門限近い時間になっていて、遊ぶ時間なんてまったく足りなかった。

 友達と別れる時間は後ろ髪が引かれる。

 家に帰る足取りは、いつも重かった。

 だって家に帰れば、学校の宿題が必ず待っているからだ。

 勉強なんて大嫌いだ。うんざりするくらいに、だ!

 宿題なんてなくなってしまえばいいのに……と、俺は切実に願っていた。


 それでも頑張って、何とか宿題を終わらせた。だって、ちゃんと宿題を終わらせれば、母親から大好きなSNSの動画を観ることが許されたからだ。

 独自に制作されたふざけた動画を見るのは、マジで面白い!

 それをクラスのみんなで真似して、腹を抱えて笑うって最高だ。

 俺も将来は、動画制作をして生きて行こうって決めている。二分の一成人式でも宣言した。絶対に動画共有サービスの再生回数でトップになってやるんだ。


 そんなこんなで、俺の小学生生活の半分以上は遊ぶことに全力を注いていた。学年が五年生に上がった今でも、それがずっと続く――と、俺、豊臣秀とよとみしゅうは思っていた。


 でも、それは彼女に出会うまでの話だった――

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