第59話 水陸両用
エリアボス?
もしかしてガッツォさんのことか?
ま、とりあえず通知を読めばわかることか。
ふむふむ、なるほどね。近隣エリアとの境目でエリア間の行き来を止めてるボスってのがいるところがあって、そのボスをエリアボスって言うのか。
んで、ガッツォさんがそれだったってことね。
そんでボスを倒したことのご褒美として、添付のご褒美一覧からアイテムが貰えるか。
そして貰えるご褒美は三つね。それじゃ早速ご褒美一覧を拝見させてもらおうかね。
……。
…………。
………………。
よし決めた。
まずはこれだな。
【宝玉機能増設:地形効果無効】
領地の住人及び領主は領地内に限り、地形によるあらゆる制約を受けない。
今のところ9割くらいの住人が水中専用だからな。
このままだとコミュニケーション含めて色々とやりづらすぎる。
あとはこいつを二枚だな。
【通商券】
券一枚につき一ルート、指定の場所に転移できる転移門を作成できる。同時に通過できる住人は五人まで。また住人の能力によっては通過できない者もいる。
一枚はマーリダーレに設定して、もう一枚は今後新しいエリアにいけた時の為にとりあえず保管だな。
よし、ご褒美選択終了っと。
次は皆に地形効果の事を伝えないといけないんだが……電話機能は使用許可を出した住人だけだからなあ。まさか全員に使用を認めるって訳にもいかないだろうし。
うーん。宝玉の追加機能になにかあるかもしれない、少し探してみるか。
…………。
あった、これだな。
【住人アナウンス】
宝玉を通して住人全てに音声でメッセージを伝えることができる。
このメッセージは領地の外に出ている住人にも届けられる。
※on・offのスイッチは宝玉に表示される。
【住人メッセージ送信】
宝玉を通して住人全てにメッセージを伝えることができる。メッセージの送信先は個別で選択することもできる。またこのメッセージは領地の外にいる住人にも届けられる。
※メッセージの記入含めた作業は全て宝玉上で行う。
メッセージの方は実行するとして、アナウンスはどうするか。
うーん、ああ、そうか、俺が自分でやらなくてもいいのか。セリスさん達にやって貰えばいいんだよな。
よし、両方とも実行だ!
「セリスさん」
「なんでしょうか、市長」
あとはセリスさんにお願いするだけだ。
「宝玉の機能を増設したので、住人の皆さんに増設した機能についてアナウンスしていただきたいのですが」
「機能?」
「はい、増設した機能は地形効果無効。領地内に限り、地形効果によるあらゆる制約を受けなくなります」
「ファウスティーナ様をはじめとする、水中でしか行動できない皆様が普通に陸地でも行動できるということですか?」
「ええ、そのまた逆も」
そう、そしてこれは俺の溺死回数も減ると言うことだ。少なくとも領内の水限定だけどな。
「それは素晴らしいことですね。それでアもう一つのナウンスとは?」
えーと、どう説明したらいいんだ?
「住人の皆さんに一斉に声を届けることです」
かなり雑だが、まあいいだろ。
「私の声で住人の皆様に今の市長のお話を伝えろと?」
「はい」
「わかりました」
「ちょっと待つんだぞ!」
へ? ロカさん?
「話は聞いたんだぞ! その役目、ボクに任せてほしいんだぞ!」
いつの間に。
(先ほどから市長に飛び付くタイミングを伺っていましたよ)
まったく気がつかなかった。
(って、確か鳳仙さん達と打ち合わせのはずじゃ?)
(どうやら市長に会うために抜け出してしまったようです)
そこまで慕って貰えるのは嬉しいかぎりだが。鳳仙さんの方は大丈夫なのかね?
(最初は我慢していたようですが、我慢しきれなかったようですね。こっちは大丈夫だからしっかり相手をしてあげてとのことです)
それなら問題ないか。
「ボクに任せてほしいんだぞ!」
「わかりました、ロカさんではお願いします」
「任せてほしいんだぞ!」
えーと、宝玉にon・offがあるって書いてあったよな……お、あった。onにタッチと。
『ピンポンパンポーン』
おおう、定番。
「ロカさん、この宝玉に向かって話しかけてください」
『住人の皆、お知らせだぞ!』
おお、初めてなのになんかそれっぽい!
『親分が皆に地形効果無効っていう新しい力をくれたんだぞ!これのおかげでボク達は領地の中でだけだけど地形による制約を受けないんだぞ!』
うん、あれだ。
ロカさんには失礼だが、予想外にしっかりしたアナウンスだ。
『良かったな、ガッツォのおっちゃん、ファウ姉。これからは領地内であれば何処でも好きなところにいけるんだぞ』
うん、まあ、ロカさんの無邪気さなら許されるだろう。
『でも新しい住人の姉ちゃん達、親分には簡単に近づけないんだぞ!』
は?
『近づきたいなら、ソフィア姉、セリス姉、紅姉、そしてボクにその力を認めさせるんだぞ!』
…………。
『以上だぞ!』
『ピンポンパンぽーん』
うん、あれだ。
終わり駄目だと全部駄目、だな。
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