第35話 ガロンディア解放
本体と携帯の設定も終わった、丸田にもらったコードも入力したし、これで携帯とのリンクは完了だな。
そういや丸田がガロンディアの特番がどうとか言ってたよな。えーっとテレビの番組一覧をひらいてっと、どれどれ……。
《開発者に聞くガロンディアオンライン》これかなっと。
……なんだこの仮面つけた人は。
『それではガロンディアオンラインのプレイヤーの皆様、おまちかねゾム吉田さんから皆『ガロンディアオンラインを楽しんでいる諸君!』』
ああ、司会者の人話してる最中なのに。しかしまた見た目の濃い人だなおい、なんで仮面なんだ?
『サービスが始まって1か月。ガロンディアの世界を楽しんでくれている諸君らに朗報だ!』
どうやら丸田の言ってた重大発表ってやつみたいだな。
『これから本当のガロンディアを解放しよう!』
本当のガロンディアね。要はバージョンアップってやつか。
『それはバージョ『諸君らが今日まで触れていた世界はガロンディアのほんのごく一部、初心者の諸君らのための小さな小さな島でしかない。いわゆるチュートリアルみたいなものだ』』
うん、司会者の人。色々と言わなきゃいけないのはよくわかる。仕事だしね。でも、その手のタイプの人は一人で自由に話させた方が楽だと思うよ。
『街の周囲に出現する魔獣達はみな初心者でも倒せるように弱く、街から離れるほど強敵が表れる。それだって強さの段階を踏んだ諸君らが倒せるようになっている』
『……』
お、司会者の人あきらめたな。うんうん、それが一番正しいと思うよ。
『だが、これから諸君らに開放される世界はそんな生易しいものではない! 魔獣達がそれぞれの生態系を持ち、食物連鎖だって存在する。ただ道を歩いているだけで、くそげーむりげー当たり前の理不尽な強さの魔獣に襲われるかもしれない、そんな弱肉強食の世界だ』
俺は既にクソゲー、無理ゲー当たり前の理不尽しかないけどな。
領地から一歩外に出れば出れば、理不尽過ぎるほどの強さの魔獣しかいない。まだ初めて数日なのに、どれだけ死に戻りしたことやら。
……。
なんかもう慣れ始めてるけど、俺の状況はやっぱり普通じゃないよなぁ。なんの意図があってあんな状況なのか、是非この仮面に聞いてみたいところだな。
『プレイヤー諸君驚くがいい! これから諸君が出会う本物のガロンディアの住民達は、みなお仕着せの定型文を話すようなNPC等ではない』
むしろ定型文を話すNPCの存在におどろいたよ。あの最初のやつ以外にも定型文のNPCがいたのか。
『泣きもすれば笑いもする、惚れた晴れたに生き死にがあり、しっかりと食事もとる。一人一人がガロンディアに生きる者達だ!』
その辺は一ミリも新しい事実じゃないな、泣き笑いに振り回されてどれだけひどい目にあったことか。ああ、でも食事の話は初めて聞いたな、皆はどうしてたんだろな?
『まあ、ここで私がどれだけ騒いだところで、言葉だけでは伝わらないことが大半だ。百聞は一見にしかず。是非とも諸君ら自身が、その身をもって本物のガロンディアを体験してくれたまえ』
うん、既に身をもって色々と体験してるかな。まさかこれ以上があるってことでもないだろ。
……これ以上はないよな?
『今この瞬間、新たな世界の扉は開かれた!』
おお、いきなりバージョンアップ完了かよ。もしかして、この番組自体がバージョンアップ作業の時間稼ぎみたいなものだったのか?
『全プレイヤー諸君に告ぐ。たった今、数多の新たな大陸とつながる扉を解放した。諸君達にはその扉を利用する鍵をプレゼントしよう!』
お、とうとう俺も他の場所に行けるようになるのか。
『だたし、その鍵が開けれらる扉は一ヶ所だけ。そして鍵が使えるのは持ち主だけ。他人の鍵の力を借りることはできないので、もし他の場所に行きたいのなら諸君らが、自らで道を切り開いてくれたまえ』
流石に自由にあっちこっちには行けないということか。まあそれでも、他のプレイヤーがいそうな場所に行けるだけでもありがたい。
『それと、鍵はログアウト用のポータルにもなっているから、今後は何処でもログアウトは可能だ。もちろん原則としてログアウト中は外敵から見えないし、攻撃もされない』
原則としてかよ。既に例外を体験してる身としては不安しかない言葉だな。
『そうそう。これは私からのサービスだが。その鍵は始点の街に戻る機能もついている、時には離れた友と交流を深め疲れを癒してくれたまえ』
俺の場合は自分の領地ということか。便利なのは助かるが、癒しになるとは全く思えないのが難点だな。
『諸君、是非とも本当のガロンディアをその身で確かめてくれたまえ』
ま、楽しみが増えるのはいいことだよな。今すぐINしたいところだが、今日のところはやることやって、飯行って寝るとしますかね。
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