機械仕掛けの心臓

作者 小鷹 りく

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★★★ Excellent!!!

この物語には人間の持つ様々な感情が滲み出ています。エゴ、欺瞞、献身、そしてその根底にある愛とも取れる強い絆──。
命をかけて主人を救おうとした従者が、その主人みずからによって与えられた新しい命。これを哀しみと捉えるか、喜びと捉えるか。
個人的な印象を言わせていただけるなら、この作品は手塚治虫の「火の鳥」を彷彿とさせます。不死鳥の生き血を飲んだ人間に与えられた苦悩がこの男の哀愁と重なるのです。
自分の運命を受け入れた先に彼が何を思うか。それは爽やかな読後感を与えるラストで見届けてください。

★★★ Excellent!!!

選び抜かれた美しい言葉。
短い文章の中に、こんなにも心に迫るドラマを込められることに、深い感銘を受けました。
誰かを大切に想う言葉が、淡々と、しみじみと紡がれていきます。
どこか切なくて、それでいて温かなものを心に残してくれる作品です。

★★★ Excellent!!!

普通の人生よりもずっと永い生を、もしも手にしたら——私たちは、一体何を感じ、どう生きるだろう?
そんなことを考えずにはいられない物語です。

戦いの中で身を挺して主の身を守り、命を落としかけた朔弥。
朔弥に守られ、自分の身代わりにその命が消えることに耐えられなかった葵。
葵は、臓器の役割を果たす精密機器「ロボー」を、朔弥の身体に埋め込むことを決意します。
朔弥の身体に葵の血を分け与えることで、朔弥は生き続けますが——。

命に終わりがある哀しみ。機械を利用することで永い生を得る哀しみ。
そして、その哀しみの先にほのかに見える明るさ。
そういう明暗を、作者は短い作品の中に、静かに丁寧に描き出しています。

大切な人を機械で生かし続けた男性と、機械に動かされて生きる男性。静かに互いを想う二人の感情の波が繊細に描き出された、印象深い短編です。

★★★ Excellent!!!

身を挺して主人を守った従者を失いたくないため、機械の心臓を埋め込んで延命を図った、その二人の物語です。
それぞれが相手をいたわり、思い遣る気持ちが真摯で、だからこそ、そこでなされる会話の一つ一つがとてもせつない。
最後はとても暖かい気持ちになれます。