★★★ Excellent!!!
瑞々しくも不思議な物語です 一式鍵
高校生たちのお話になるわけですが、作者、タグにて曰く「すこし・ふしぎ(SF)」系作品。のっけからすこしふしぎ。いや、すごくふしぎ。
突き詰めて考えると「すこし・ふしぎ」どころか「すごく・ふしぎ」どころでもなく難しい話なんですが、一人称・主人公も状況をよくわかっていないおかげで、読者の思考力とほどよくシンクロします。よくわかってないからこその焦りのようなものもジリジリと伝わってきます。引っ張られるとわかっていても続きが気になって次々読まされてしまう感、うまいなぁと感じます。結果的に最新のところまで一気読みです。
ちなみにコレを書いている時点で5-9.まで読んでいるわけですが、ここからどう展開していくのか、予感はあれど確証は持てないというジリジリした状態でお預けを食らっています(笑) うまいなぁ。
登場人物たちもわらわらーと出てくるんですが、それぞれ個性があって生き生き動いています。主人公の視界の外でも生きてる感があって、その辺りにもリアリズムを感じました。作品カテゴリはSFですが、こういうリアリズムがあってこそ引き立つ「不思議(Fiction的な)」なのだろうなと思います。
また、個人的には北国が舞台になっているのがポイント高いです。肌感覚みたいなものがすごく伝わってくる。北国の冬を文字化するとたしかにこうなるわ、と思いました。なまらしばれる……という表現は出てきませんが、その感覚がぴしっと伝わってくる表現力があります。
続きが、そして結末が、気になります!