★★★ Excellent!!!
その「異能」は十四歳に発現する─ ─超常的「五感」を得た彼らの運命は 虚仮橋陣屋(こけばしじんや)
タカ・クモ・ナマズ…これらヒトの持つ「五感」をはるかに凌駕する驚異的な超感覚を有する生物がこの世には存在しています。
だが、もしその「異能」にヒトが目覚めたとしたら?
すなわちそれが、この作品のタイトル「変換者─ ─コンバーター」と呼ばれる者たち。
出自も生い立ちもバラバラで、性格や思考、そして信義・信条さえも異なる彼ら五人の登場人物たちは、世間とは隔絶した状況で秘密裏の「実験」に強制参加させられることになります。
物語が進むにつれ、次第に観察者と被験者、また被験者の間でも関係性と想い、思惑が変化していく。それはまるで「異能」に魅入られ侵食されていくかのよう…。
異能の血脈は、日本各地の神話伝承がモチーフになっているようで、オオヤマクイ、レタッチリ、などなどちょっと、どきり、とする妖しさに満ち溢れたネーミングが伝奇系小説好きにも刺さるポイント。
また「実験」の場面では、銃火器の描写やコールサインなど、ミリタリー物を好む読み手も惹きこまれる要素が。
いまだ明かされていない謎の部分もあり、続きが待ち遠しいオススメの一作。
これから読む作品をお探しの方は、ぜひご一読いただきたい。