君と一緒に、天の川を見たいんだ。
「たとえば永久に生きられるとして――」
大学の同期、庵野ルミさんはとても美しい人だった。ある日僕はいつものバス停で待っていた彼女に、勇気を振り絞って声をかけた。その日をきっかけに僕らは距離を縮め、そしてなだれ込むようにして付き合うことになった。
その一番最初の時に、彼女はこんな事を言ったんだ。
「たとえば永久に生きられるとしてね。その中でたったの四年間だけ自由に過ごしていいよって言われたら。君だったら何をする?」
正直、僕にはなんと答えたら良いか、わからなかった。今でもその正解はわからない。もしあの時違う事を答えていれば。もっと気の利いたことを言えていれば、あるいは今は違ったのかも知れない。それが良いか悪いかは別の話としても。
「君の四年間、私に分けてくれないかな?」
彼女はそうとも言った。僕には断る理由も、手段もなかったんだ。
そして僕は知る。
「たとえば永久に生きられるとして」――その言葉の意味を。
花の咲いたようなその笑顔を、僕は永久に忘れないだろう。