海が見える街で
「海‥‥海です!」
ファティナが喜びその荒れ狂う海をみていた。
バードたちは馬車に乗りここにある寺院を目指していた。フェルマは寝ていて、うーん何かあった?などと言って寝ぼけている。
「海が近かったんだなぁ」
バードはナイフでリンゴの皮を剥いていた。剥いたリンゴを渡すと、ファテぃナが上品にたべるのをみていて、あんたっていいところのお嬢様なんだろうと聞いた。
「聖職者の家柄ですわ」
それだけ言ってファティナは微笑んでいる。
でもバードは確信していた。この人は名家の出身なのだと。ごちそうさまでしたと言って、ファティナはその整った顔で満面の笑みを見せる。
「あ、私は剥かなくてもいいわ」
リンゴの山からフェルマは、リンゴを1個取り出しまるかじりしている。それ洗ってないけどとバードが言うといいのよと言って気にせずにかじっている。
海が近くなり塩の匂いが強くなる。民家や漁業船などを見ながら寺院への道を急ぐ。
「おーいお嬢ちゃんたち、こっからもう砂場だからこれ以上は行けねーよ、毎度」
銅貨を馬車の引き手にファティナが渡し、3人の女の子が馬車から降りて、うーんと背伸びをする。
1人は修道女。
1人はショートカットの男の子のような女の子。
1人はワンピースの面長の美人。
「寺院まで結構ありますね、フェルマなんなんですかその靴」
フェルマはピンヒールを履いている。靴ずれ起こすぜそれと言ってバードは自分のスニーカーと比べた。あれから追っては来ない。無断で反社会的組織から抜け出したバードたちは、おそらくただではすまない。しかし驚くほど不気味に、静かに日常はやってくる。やっぱり靴ずれを起こしたフェルマが裸足で寺院まで歩く。
「あなたは旅を舐めすぎですわ」
持っていた絆創膏をフェルマに渡すと、ファティナはころころ笑っている。たしかに舐めてたわと言ってフェルマは靴ずれを起こした部分に絆創膏を貼っている。
寺院は砂場に囲まれた林の奥にあり、そこに入るとファティナが祈り、キラキラとした光が差し込んでくる。
「凄いわね」
「これがファティナの言う神様なのかもしんねーな」
じゃあ神様とは太陽をコントロールできるのもしれない。雨や風も嵐も。ファティナと行動するようになってから一度も天候が崩れていない。
「奇跡ってのはこんなことなのかもな」
不気味にやってくる日常はいつか壊れる。
宿をとり、ベッドの上でバードは考えていた。
「なんで神様はそんな力を持ちながら、俺をこんな目にあわせたの‥‥」
すっかり化粧を落としてすっぴんのフェルマが、そのひとりごとを聞いていて、何があったのかは知らないけど、それでもその答えを探しに来たんでしょう?と言って爪を切っている。
そうだ、その答えを探しにきたのだ。
「おかしらたち追ってくるだろうな」
「たぶんね、見逃すとは思えない、しつこい性格だもの、そういうところが嫌いだった」
フェルマが何気なくつぶやいてバードはぎよっとした。
いつか天国へ行ける時まで 斉藤なっぱ @nappa3
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