第149話 水着宣伝イベント・3

No149

水着宣伝イベント・3



 昨日は冒険者ギルドで、ギルドマスターのサーシャさんと受付嬢のシンディさんと一緒に、海水浴の話をした。


 サーシャさんやシンディさんは海水浴については参加を表明してくれた。冒険者ギルドからも浜辺での警護依頼の手続きをしてくれた。報酬は銀貨五枚枚で十名の警護者を人選してくれると言ってくれた。


 それと、冒険者ギルドからの依頼で魔法師達の依頼も出してくれると言ってくれた。これは、素直に嬉しかった。警護と言っても万が一に海から魔物がやってくると海中では近接戦は出来ないから、遠距離から魔法が撃てる魔法師がいるのは心強い。


 海水浴イベントの土台は出来上がりつつある。冒険者ギルドは街中での宣伝もしてくれるし、露店商を集めて浜辺での露店を開いてくれように働きかけてくれるとも言ってくれた。


 あとは、水着を海水浴イベントまでに用意すれば良いだけだ。


 そうと決まればさっそく今日は、服飾師レイリーンさんのところに向かう。


▽△△△▽▽△△▽


 いつも通りの目覚めと朝食を済ませた俺は、マダラと一緒にメイン通りを歩きながらレイリーンさんのところに向かっている。

「そういえば、前回の鉄板焼きを浜辺でやった時にマダラは魚介類をどっから捕ってきたんだ?」

 俺はマダラと思念で会話しながら通りを一緒に歩く。


『そんなのは海からに決まっておるではないか。それ以外にどこから捕ってくるというんじゃ?』

「それって、浜辺の近くなのか? でも、マーマン種のスレイブさんを咥えてきたよな.....」


 マダラは近くの露店で売られている魚焼きを欲しがり列に並んだ。俺も、その列に一緒に並ぶ。


『そうじゃ、ワレが魚を捕ってる最中に一緒に捕獲したんじゃよ』

「捕獲って....まぁ、互いに不幸が重なったのはしょうがないけど。それで、マダラは海の近くで捕っていたのか?」


『いや、海の上じゃよ。ちょいと魔力を使い海の上を歩いたり走ったりする事は出来るからのぅ。さすがに、ワレでも海中に潜るのは少し面倒じゃし、海中では漁が出来んからのぅ』


 露店種に代金を払い魚焼きを受けとり、マダラの影に保管してした。そして、次なる露店を探しつつ歩いていく。


「えっ、じゃあマダラは海の上でも自在に動き回れるのか?!」

 そんな事は聞いてないぞっ! 海の上を自由自在に動ければやれる事はもっと拡がるじゃないか!


『そうじゃが、海の上を歩くには魔力を使わねばならん。今ではそれなりに魔力を蓄えてあるがまだまだ無駄使いは出来ん。セイジロウと違ってワレは自然と魔力が回復するわけではないからのぅ。使ったら使った分は魔物を狩って糧にしなければならん事を忘れるではないぞ?』


 俺は、旨そうな匂いがする露店にマダラと一緒に並ぶ。この露店は貝類を独自の調味料で焼いてる露店でかなりの頻度で利用してる。


「そうだったな、でも海の上を歩いたり走ったり出来る事は凄い事だよな。俺には無理かな.....」

 昔の忍者とかは水の上を走ったなんて聞いた事があるけど、あれは足に水に沈まない道具を使っていたらしいし。


『無理ではないだろう。現にワレは魔力を使っておるのだ。セイジロウが出来ぬ道理はないじゃろ。いずれ、ワレが教えてやろう。魔力操作をちょっと鍛練すればすぐに出来るはずじゃよ』


 そんな、簡単に言うなよ。今だって思う通りに魔法が放てないで苦労してるのに....漫画やアニメみたいに現実はいかないんだよ!


「ちょっとって何だよ.....お前のちょっとと俺のちょっとじゃ全然違うだろ! だいたい、海の上を歩いたり駆けたり出来るんなら自分で魚を捕ってこいよな」


 俺は、ゲバブ風のサンドパンを売ってる露店に並ぶ。この露店も以前から利用してる店で、オリジナルのソースと新鮮な野菜に焼きたてのパンと焼いた肉が絶品なんだ。


『だから言ったであろう、魔力を消費すると。やたらむやみに魔力を消費したくないんじゃよ。......セイジロウ、そのサンドパンは五つ頼むんじゃぞ!』


 さりげなくマダラから注文が入った。このサンドパンはマダラの好物の一つだからな。仕方なく露店主に五つ注文して受け取る。


「そうかい、分かったよ。でも、今回の海水浴イベントにはマダラにも参加してもらうからな。魔力を使った分はイベントが終わったら街の外で魔物狩りをして補充すれば良いさ」


 と、買い溜めをし終わるとレイリーンさんのお店に着いた。マダラには影の中に入ってもらって俺は店内へと入っていった。


△▽▽△△▽


 レイリーンさんの店へと入ると女性店員が挨拶をしてきと、用件を伝えると客室へと案内してくれた。

 女性店員が紅茶と焼き菓子を用意してくれた。しばらくして、レイリーンさんが部屋へと入ってきて話が始まる。

「おはようございます、レイリーンさん。忙しく時にすいません」

「おはようございます、セイジロウさん。いえ、大丈夫ですよ。それで、水着と海水浴イベントの件だと伺いましたが」


 俺とレイリーンさんはさっそく本題の話しに入った。

「はい。まず、海水浴イベントに関しては冒険者ギルドが参加をしてくれるようになりました。浜辺での警護と魔法師達を用意してくれるそうです。それから、露店の出店も入ります」


「それは.....規模が大きくなりましたね。そこまでになりますか.....セイジロウさんは海水浴イベントにかなり力を入れてるのですね」


「はい、せっかく水着が完成したのです。それに、これは私が持ち掛けた話ですからね。しっかりとやりますよ!」


 だって水着だよ! 合法的に女性の下着姿が見れるイベントだよ! 男なら一度は見たいし夏、火水季と言ったら海水浴でしょ!


「それに伴って水着の宣伝もしてきました。海水浴イベントに参加するアンリエッタさん達や冒険者ギルドの皆、ギルドマスターや受付嬢のシンディさん達も水着に興味を持ってましたから、近いうちに来店するでしょう。それから、マーマン種達の水着や海水浴イベント中に水着の販売も出来ますよ!」


「えっ? ちょっ、ちょっと待ってください! いきなり人数が増えてませんか? 最初は十数人規模でしたよね?」


「はい、ですが思ってた以上に増えました。これで、ある程度は形が整いましたね。すでに、量産が可能ならどんどん作って大丈夫ですよ。冒険者ギルドは海水浴イベントをルインマスの街に取り入れるつもりで動くみたいですし」


「はい? 冒険者ギルドがですか?」

 レイリーンさんは自分が思ってる以上に今回の宣伝である海水浴イベントが大きくなってる事に頭の理解が追いついていない様子だった。

 俺は、昨日の話の詳細と今後に起こりうる想定の話をレイリーンさんと話した。



「--そうですか、やはりわたしの見通しが悪かったのですね。量産と言っても数百着程度だと思ってました。一応、今回の宣伝を兼ねた海水浴イベントには間に合いますが、今後の見通しは考えておかなければなりませんね」


「そうですね。今すぐにとは行かなくても、年々増えていくでしょ。話が広まり需要が増えればレイリーンさんだけでは荷が重すぎます。その辺は商業ギルドと話をしてみたら良いでしょう。今回の海水浴イベントが上手く行けば有利に進められるはずですから」


「そうですね、そうしてみます。それで、水着のデザインは他にあったりしますか? もしあるようなら提供してくれると助かります」

「分かりました、今わかる範囲でデザインを描いちゃいましょう。それに、レイリーンさんが手を加えてオリジナルの水着を制作すれば良いでしょう。やはり、女性視点からの意見は重要ですから!」


 可愛くてエロい水着を作って下さい! それと、下着もよろしく!


「あっ、それとは別に私専用の衣服を作ってもらいたいのです。水着とは別にあると何かと便利になりそうなので」

 と、昼をまたぎ午後過ぎまでレイリーンさんのところで水着のデザインを興して、その日は終わった。


 明日は、マーマン種のスレイブさんのところに行って話をしなきゃな!

 せっかくの水魔法の使い手なんだから、色々とやってもらおう!

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