第101話 フローラさんへの手紙
No101
フローラさんへの手紙
親愛なるフローラさんへ
前回のお手紙はすでに読まれてる頃だと思いますが、さらに近況報告を書いておきます。
実は現在進行形でルインマスの冒険者ギルドと、魔導具師アンリエッタさんと私である計画が進行してます。
詳細はお話できませんが、計画が成立した際にはきっと楽しい食事が出来ますよ!楽しみしていてくださいね。
それと、新しい料理人を見つけました。名前はマレルさんといって漁村出身の方です。最初の出会いはルインマスのメイン通りの露店でした。
過程は省きますが結果は、スカウトに成功しました。マレルさんは現在アンリエッタ邸で日々研鑽を送ってます。
出来事としてはこんなところですかね。それと、腕の良い細工屋を見つけましたよ! フローラさんに似合いそうな物があったので買っちゃいました! 氷雪季前にはハルジオンに帰ろうかと思ってますので、その時に渡しますね!
他にもまだ見てない場所やお店もありますから、新しい発見があったら手紙で知らせますね! 氷雪季に会えることを楽しみにしてます。
貴女が大好きなセイジロウより。
△▽△△△▽△△△△△
「よし、明日はコレをギルドに出してと」
『よく書くのぅ』
「まだ、三通しか書いてないよ?」
『何通書くつもりじゃ?』
「....書けるだけ?」
『別に会いに行けば良いだろう? ワレに乗れば然程時間はかからんじゃろ?』
「分かってないなぁ....コレが良いんだよ。会おうと思えば会える距離だけど、好いてる人からの心の籠った手紙を待つ。何とも焦らつく気持ちが良いんだよ! わかる?」
『いや、分からんぞ? お主は何を言ってるんじゃ?』
「やっぱり分かんないか....マダラは好きとか嫌いとか、恋愛を知らないのか? 男と女が夫婦になる過程で起こる現象と言えばいいのかなぁ?」
『要は番になる前の行動を言っているのか?』
「そう、ソレっ! 互いの気持ちを確かめ夫婦となって生涯を共にする! 幸せだろ?」
『そんなのは孕ませて仕舞えばよかろう?ワレなど良い子を産めそうな母体がいれば孕ましてしまうぞ。そして、一緒に暮らせば良いじゃろが』
「孕ますとかっ! そんな事、無理矢理出来るわけないだろっ! 相手の気持ちだって考えなきゃ!」
『無理矢理とは言っておらん。互いにタイミングがあった時に交尾をすれば良いのじゃ。だいたいセイジロウは手が遅すぎるのじゃ。フローラは待っていたぞ? セイジロウが手を出してくれるのをな』
「えっ? そうなの?.....ソレっていつだった?」
『これじゃからのぅ。まぁ、今頃フローラも他の男と事をしてるかも分からんのぅ?悠長に手紙を書くより会い行った方が良いのではないか?』
「そんなっ.....まさか....いや、フローラさんに限って....」
『クク、まさか好いてる女を疑っておるのか? 手紙で気持ちを確かめておるのだろう? なら平気ではないか』
「でも、もしかしたら...いや、大丈夫だ!フローラさんに限ってそんな事な無い....はず」
『まぁ、ワレはどちらでも良いがの。恋愛とは難儀なものじゃな』
セイジロウはこの夜、フローラの事に頭を悩ませ寝付いたのは明け方近くだった。
ちなみに、翌日セイジロウが冒険者ギルドにフローラ宛の手紙を出しに行くと、フローラからセイジロウ宛に手紙が届いており、その場で内容を確認すると、
(食の話も嬉しいですが、わたしはセイジロウさんの事を知りたいです。次はセイジロウさんの話を聞かせてください。それと、わたしの事も書いてくれる嬉しいです。じゃないと.........)
と、書いてありすぐにその場で追加の手紙を書き記し、フローラ宛に送った。内容については甘いとだけ説明しておく。
そして、その日のセイジロウは一心不乱にアンリエッタ邸の倉庫整理に汗をいつも以上に流し、倉庫整理は捗ったそうだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます