520話 どういう対応を

「最終戦、殆ど私の予想通りの結果になりました。そして狙いの相手は……わかりますね?」

「アカメさん、ですね……」

「その通り、あの人がクランの中心であって、火力も高く放置できない存在。此処を潰せば勝ちもいける……のは少し前の話でしたね」


 ホワイトボードに色々とすでに書いてある状態で、中心にアカメと書いて丸を付ける。


「今までのクランと違い、アカメさんを中心としたアカメさんが自ら前に出て全部やる方式ではなく。完全に分業制に、そしてその中心人物の一人がこいつ」


 ヤスと書いて、丸を付けて線を横に引っ張って同列と言った形に。


「……正体は?」

「もう集めてるっすよ、元情報クランの一員っすね。自分と同じような口癖なんで好きじゃないっすね」

「問題は実力のほうで、そっちは?」

「優秀っすね、盗賊、忍者、アサシン、そっち系のスキルを中心に取ってるみたいっすよ」

「そのうえで、情報クランと言う立場を使っての人材集め、少数精鋭ながら十分な戦闘力を確保……でしたね」


 こつこつとホワイトボードを叩きながら少しだけ思案し話を続ける。


「そして、その伝を使い集めた人員が問題ですね」

「それガウェインちゃんが言うのぉ?」

「手段は選んでられませんから、こっちも最大限使えるものを使うって事です」

「アカメちゃんも大変ねぇ」

「防具含めた装備はカコルさん含めて、お願いします」

「うちのバイパー引き抜かれちゃったしなー、良いの作ったろ」

「そして、ヤスさんが集めた人員に対してですが」


 ホワイトボードに新しくメンバーの名前を書いていき、線を引っ張って関係性を書き込む。配置的には横並びのアカメ、ヤスに対してした方に。


「まずは盾役、これは私以上の耐久と防御力なのでちょっと問題ですね」

「上には上がいるっすねえ」

「ただ、足回りは遅いので多少攻撃を続ければ足止めは十分出来るでしょう。問題は私のように攻めの起点にされることなので、開幕でいかに分断出来るかがポイントです」

「それを僕と、カコルさん、メタリカさんで?」

「向こうも分断してくるのを想定していると思いますが、そこは問題ないでしょう」


 そうして新しくホワイトボードに書き込みをして、関口、エルアル姉妹の所に線を引っ張り丸。


「この3人が前線戦力としての主力です……アカメさんがあまり制御できていないのがポイントです」

「と、言うと……?」

「姉妹の方はセットで行動するのが前提、関口と言われる方はバトルジャンキーなので敢えて突っ込ませれば引っ張れるでしょう」

「それを、私が……?」

「メタリカさんはアカメさんが認めるくらいには強いですからね、数発撃ちこんでやればひっかけれるでしょう」

「そうっすね、そこは問題ないかと思われるっす。姉妹の方も一回ぶつかってから引いて引っ張ればすぐに釣れるっすね」


 引っ張っていた線を消し、線が切れた所を指摘しながらの作戦会議を続ける。


「松田と言う、回復役もいるのですが、盾役にべったりなので問題ないでしょう」

「一番上のいるヤスとアカメはどうするんだ」

「まずは前衛の二人を引き剥がし、そこからアカメさんがどうカバーするか、ですね。ヤスさんは読みでは遊撃に回ることが多いので、十中八九孤立するであろう関口さんの方に合流するはずです」


 繋げていた線を消しては繋ぎ直し、分断されたという事を書いていき。


「とにかく序盤が大事です、分断からの各個撃破、少しでも相手の戦力を削って此方の動きやすいようにする」


 そのうえであれこれと書いていった後に、ホワイトボードに手を叩きつける。


「とは言え、相手が相手です。イレギュラーは発生するでしょうし、手痛い反撃もありえます、油断しないように」

「もうちょっと作戦は詰めなくていいのぉ?相手はアカメちゃんでしょぉ?」

「今まできっちりと作戦を立ててきて裏目に出たり、変な反撃を貰ったりと碌なことがありませんでしたからね、中盤から終盤にかけては状況次第です」

「そんなにも警戒する必要ある?」

「用心に越したことはありませんよ」





「なんて事を言っていたのですがね」

「どう、します?」

「……いや、分断や消耗は出来ています、上出来ですよ」

「メタリカさん、カコルさんは痛いですが……」

「まだまだこれからですよ、焦るには早いです」


 目の前で飛び交う矢や魔法、降り注ぐ硫酸の雨。たまに飛んでくるのは火炎や氷、電撃の詰まった瓶。何ともまあ、バリエーションの多いことで。


「一二三さんがやばそうではありますが、1対1をやってくれそうですし……もうちょっと走り回ってもらいますか」

「こっちの手札は、まだある?」

「もちろん、仕込みは上々ですよ」

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