470話 苦戦するわけ
「そういえば、何でパーティ組むようになったんですか?」
モンスター群を倒して休憩している途中、不意に犬野郎からそんな質問をなげられる。まあ、確かに殆どソロだったけど、いつからパーティ組むのに抵抗なくなったっけか……。
「最初はソロで何でもかんでもやろうって思ってたのはマジ、だからスキル2やらとにかくあれこれと一通りできるようになってるし」
結局私のキャパシティが足りなくなって鍛冶、木工、裁縫、酒造、等々は金で解決。やっぱりあれもこれもどれもとやろうと思うと、本筋のガンナー業が疎かになったし、仕方のない事だよね。
「で、結局のところ、私が出来るまでと頼んだ場合の時間を考慮したら頼んだ方が速いじゃん?」
「それとパーティを組むかどうかは別の話では」
「だから1人であれこれするより人を使った方が良いって分かったんよ」
「そういうもんですか?」
「それともぎらついている私の方が好きか?」
ふふっと笑いながら銃弾の残りとマガジンを確認して先の方を見据える。
ちなみにだが、まだ海底火山1Fすら突破出来ていない。此処の攻略が進んでいない理由が環境が過酷と言うのもあったが単純に広いのに、さっきの溶岩噴き出しで進行ルートの制限が知らんところでもやられている。一直線に良ければいいけど、わざわざ遠回りして、その遠回りをしている間にもルートがころころ変わる。とにかく滅茶苦茶めんどくさいマップコンセプトのせいで時間と手間が掛かって攻略班も現状良い物も無いし匙を投げているって事になる。
「今も昔も不敵じゃないですか……それにしても初対面の時はぶっきらぼうだったのに人間変わるもんですね」
「こういうゲームで孤高にやってもしゃーない部分に気づいただけだって……右」
ダンジョン内の水場からばしゃんと出てくる魚人モンスターを犬野郎が叩き落とし、そこに追撃で数発射撃を叩き込む。こういう単発で出てくる相手ならさくっと倒せるから良いんだけど、大体複数でやってくるから大変なんだよな。
「で、どのくらいまで来てんの?」
「4分の3ってとこですね、もうちょっとで階段が見えるはずですが……ルートが塞がれてますね」
「爆破……したい所だけど、この状態じゃダメだなぁ」
サクッと倒したモンスターから少し先に進めば、がっつり道を岩盤が塞いでいる。岩盤って言うか、溶岩の冷え固まったものになるわけだけど、これは爆破しきれないからダメだな。さっきの溶岩はまだ流動的だったからいけたって訳だ。
「それで次のルートは?」
「そこそこ戻って、迂回ですかね……こんなんばっかりなので情報クランもダンジョン攻略をメインにしているクランも手を出さないんですよ」
「あんたのとこはどーなんよ」
「うちはボスメインですから」
ダンジョン攻略とボス攻略ってどう違うんだ?と、思ったけど世の中にはマッピング中毒や雑魚のデータを細かく収集してドロップ率を調べたりするような変態がいるから、そっちがダンジョン攻略をメインにしているクランって事かな。
「こういう手間のかかるダンジョンの方が攻略するのは燃えるタイプじゃないの?」
「手間と時間が掛かり過ぎるらしいですよ、何だかんだで南でエリア5ですから、要求レベルも高いですし」
そうなんだよね、エリア3で既に50レベル帯に突入しているのに海底火山はエリア5、出てくるモンスターの平均レベルも70近いので、固定ダメージの有無、防具の新調なりしてなかったら本当にきつい所だったと思う。
そういえば犬野郎のボス討伐の手伝いをする前にアサルトライフルも新調しておいたのもあって、今の所、火力は問題なし。やっぱり高レベルになっていくと装弾数が少ないレバーアクションじゃ手数が足りない。レバーアクションに加えてリロード頻度も多いってのは浪漫はあるけど実用がな。
「つまりそのダンジョン攻略、情報クランの連中が見つかってないようなお宝があるわけだ」
「MMOで先着報酬がある訳じゃないですから、率先して攻略ってのは未知の部分を楽しむしかないですがね」
「そういうの含めて楽しむのがゲームってもんだけど……私の狙いは攻略でも討伐でもないしなあ」
移動中もしっかり採掘ポイントをチェックしつつ、軽く掘ったりしているけど珍しい鉱石が手に入るわけでも……なんて事もなく、熱水鉱床なのでちょくちょく水銀が取れるのはでかい。ただ、このダンジョンの感じと此処まで来る手間ってのを考えると効率が悪いわ。
「さて……前にお客さんだけど、いける?」
「迂回するとなると戦闘回数が増えるってのも困りものですね」
「雑魚を一時的にため込んで、後で纏めて出てきて戦闘する、なんてシステムあったらいいのになあ」
「そういうのはオフゲーですよ」
そりゃそうだ。
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