458話 最初の一歩
「それじゃあお前ら、手持ちの銃弾全部寄越せ」
目の前にいる5人の犬野郎クランのガンナーに言うと、それぞれ渋々ながらもトレードで銃弾を受け取る。で、それぞれ何発持っていたかは別で記録してからインベントリに仕舞い、それぞれの銃を確認、それもメモってから一息いれ。
「よし、そうしたら……手持ちに持っていた分、銃弾を作れ」
は?と言った顔をするので手を払いさっさと作りに行けと促す。
最初は明らかに疑問を浮かべていた表情だったのが、戸惑いに変わってるのはちょっと面白い。
「すいません、どういう理由で、ですか」
「そうよ、買えるんだから別に作る必要はないはず」
まあ、そういう事になるわな。
今でこそギルドに行って1発3kで購入は出来るが、そこそこの高級品でもある。犬野郎の奴ならクラン資金使って銃弾の供給くらいはしているだろうし、個人でやれる金策も結構見つかっている。だから個人でも購入して結構蓄える事も出来るが……出来るからこそだな。
「ゲームプレイの自由度は確かにある、だから他人がどうこう言う所ではないが、ガウェインの話を聞いたうえで、上に行くために教育されるのを選択しただろう?」
だったら黙って話を聞けって事だよ。
「金と弾数に物を言わせてばら撒くなんて事は馬鹿でも出来るんだよ。適当なサブマシンガンでも買って撃ってりゃいいんだからな」
「それと銃弾を作るのに何の関係が……」
「本当なら銃も一から作って来いっていう所だけど、そこは見逃す」
いつもならここで煙草と葉巻を用意してすぱーっと行くところだけど、現状金欠でなおかつ自分の装備すらままなっていないのでため息を吐き出してからもう一度ガンナー達を見据える。
「一発の重みってのをしっかり知るのが大事なんだよ、ばら撒いて無駄にコストを掛けるのはクランも自分にも無駄だろ」
そう言ってやると、それはまあ、と生返事をしてくるのでどうした物かを考えつつ、言葉を続けていく。
「作り方や材料は自由に調べて良いが、とにかく自作するんだ。と……言ってもどうせ出来ないだろうから、まずは火薬を作れ」
「黒色火薬、ですか?」
「そうだ、銃弾以外にも使い道があるし、まずはだ」
全部手探りでは無理だろうから調べるのはありにしているし、そもそもレシピもすぐに手に入るのでここの難度は別に高くない。量産するという所までは課題にしてないあたり、まだかなり優しい。
「とにかく作って来い、今の環境だったらリアル1時間もあれば1回くらいは作れる」
「リアル1時間って……それはちょっと」
「全部手探りで何もヒントも無い状態じゃないならすぐだ。ほら、さっさと行く」
ぱんぱんと手を叩いて動くのを促してさっさと解散させて作りに行かせる。
「出来なきゃガウェインに頼んで最前線でスパルタだからな」
「行ってきます!」
あいつ結構権力持ってんだな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます