377話 出撃
「さあ、どんどん試合も進んで4試合目ですね!」
「はい、前3試合も中々面白い展開でした、特に2回戦目の聖天使癒猫さんとマッスル武田さんのプロレスは見ごたえがありました」
「いやー、熱い展開でしたね!特に2人で逆水平の打ち合いは意地の張り合いでした!」
「1試合目、3試合目も面白い展開でしたが、今の所印象に強く残ったのはプロレスでした」
「そうですね!それでは4試合目の選手が入場します!」
『闘技場ランク堂々の1位!やはり力こそパワー!全てをねじ伏せるのはパワー!攻撃を貰った所で、一撃で相手を仕留めれば問題なし!パワーオブジャスティス!ドワイトぉ!』
『STR極の戦士タイプですね。特徴的な大剣、竜殺しですが、必要STRがかなり高いので使用者が限られる装備の1つです』
『話だけ聞けばネタ装備ですが、使いこなせるとかなりえげつないですね!』
『さあ、ドワイト選手の反対側からやってきたのは赤い眼光、全てを撃ち抜き、目の前の道は自分で切り開く!アカメぇ!』
『一般的なガンナーとは違い、AGIに振っているようですね。サブ職の選択も特徴的なので1プレイヤーとしてもどう動くか、期待できます』
『それにしてもファイナリストは一癖も二癖もある人が多いですね!』
実況と解説の声を聞きながらバトル場の端、ドワイトとかいう脳筋野郎の反対側に立ち、ふいーっと大きく息を吐き出してから、自分の装備を準備し始める。
『さあ、戦闘開始前の準備タイムです!制限時間は3分なので装備やスキルのONとOFFを今のうちにやってもらい……しかし、この時間必要ですかね!?』
『マッチするまで相手が分からないですし、相性差だけで負けるというのはやはり悔しいと思うので、こういう処理にしました』
『なるほど!まあ、確かに相性だけで負けるのは不公平感がありますからね!さてドワイト選手は特に装備を弄る事もなく、着の身着のままと言った感じです!』
『アカメ選手の方は……どうやら容姿から変えているようですね、ヘアスタイル、容姿変更の課金アイテムは一度購入してもらえれば無限に使えますので、皆様も是非購入を』
『宣伝の為と言う訳ではないでしょうけど、どういう意味があるんでしょうかね!』
意味ならあるんだよ。これは私が帰ってきたというのを教えるために必要な行為であって、分かる奴に分からせるようにする為に必要な事なんだ。
まずヘアサロン券を使い、黒髪のセミロング、インナーカラーを赤に。そのままスキンケア券を使って肌の色を少し色白の物に、鱗の量や角の形状、尻尾以外の部分を全部元に戻してから、黒いスーツ、白のワイシャツ、赤いネクタイをしゅるりと撒いてから黒の手袋をはめ、肩掛け腰掛けのガンベルト、投げ物ポーチ、ハンドガンを2本提げた上で銃剣の付いたライフルを持って準備完了。
『武器1本のドワイト選手に対して、アカメ選手はぱっとみても3本銃を持っていますね、複数装備のデメリットはAGIを振っている部分でカバーと言った感じですか……どちらも一発が大きい選手同士ですので決着はすぐ着くかもしれません』
『なるほどなるほど!こうなってくると先に一発当てた方が試合の主導権を握るって感じですね!』
『ドワイト選手は後手に回ると距離を取られて撃たれまくるでしょうし、いかに近づくかがポイントで、アカメ選手はいかに近づかれないかがポイントですね』
そんな解説を聞きながらある程度距離を取った所でレフェリー役が中央でルールの説明。まあ簡単に言えば相手を行動不能にさせれば勝ち、後は何でもありで回復するなり長期戦を狙うなり、後はご自由に。時間無制限の1本勝負。
それにしても相手の脳筋野郎、あれで機動力の高い奴だったら厄介だ。まあ、そういう相手に対してもこっちはこっちで色々用意してきているから大丈夫だろ。そう思っていたら試合開始のアナウンスが入り、向こうが大剣を構えて近づいてくる。
『さあ、始まりました、ファイナリストトーナメント第4試合!ドワイト選手対アカメ選手です!』
『序盤からドワイト選手が動きましたね、あの大剣は盾にもなるのが良い所ですね』
『それに対してアカメ選手……おおっと、煙草を吸って余裕たっぷりに迎え撃つ様子!』
『流石に舐めた事をしているのでドワイト選手激高!そこから大きく振りかぶって横の斬撃!』
『上体を反らして回避するとは、やはりアカメ選手のAGIはかなり高いようですね、そこから反撃……はしませんね』
『ドワイト選手も大きく振ったのもあり、少し振り回されているか!?そのままぐるりと回転して2回目の斬撃!』
『上体を起こす所に追撃されると避けきれないようですね、斬撃を銃剣の刃で上手く流しています』
『ドワイト選手そのままぶんぶんと大剣の重量に任せて何度も振り回して相手を捉えようとする!』
『アカメ選手はしっかり攻撃を見て避けていますね、サブ職に忍者がありましたので系統の回避系スキルを伸ばしているかな、と』
『一撃当たれば即死もあり得る火力ですが、それも当たらなければ意味がない!とぉ、ここでアカメ選手の咥えていた煙草が宙を舞う!』
『まだ半分近く残っていたので少々勿体ないですね』
「全く、煙草くらいゆっくり吸わせてほしいもんだな」
「うるせえ!さっさとやられちまえ!」
ぶぅんと大きく振ってくる攻撃を避けつつ、体勢が崩れかけた所は尻尾を使い補助、バックステップはせずに相手の振ってくる攻撃先に回るように歩いて回避をしつつ銃剣を構えずに、大剣が一回転している最中に一突き。が、そのままダメージなんて知らんと言った形にそのまま大剣をまた大きく振ってくるので咄嗟にライフルを引いて銃受での一撃を貰う、と同時にぱっとライフルから手を離す。
「勝負を捨てたか!」
「私に勝ちたきゃ、頭を使いな」
ライフルが上に回転しながら飛んでいくのには目もくれずに、腰に提げていた銃を抜いて6発同時発射。
振り切った所で回避も出来ず、もろに攻撃を貰って呻き声を漏らしながらステップを踏んで距離を取ってくる。
そのまま撃ち切った銃はすぐに手を離して足元に転がしつつもう1本提げていた銃を抜いて両手でしっかり構えて1発。ステップ踏んで下がったのもあり、大剣の腹で弾かれたがそれは問題ない。さらに大きい銃声をさせて2発、3発、4発と銃撃を重ね、相手を押し込む。
「ガンナーは直撃さえしなきゃダメージは出ないんだったな!」
「そりゃそうだ、そういう仕様だし」
8発ほど撃ちこんだ所で使っていた銃のマガジンを落としてガンベルトにマウントしていたマガジンを詰め、リロード隙を晒す。流石に闘技場ランク1位なだけあり、そこの一瞬を逃さずに大剣で横の一撃を振ってくるのでさっきと同じように上体を反らしつつ、後ろに飛ぶ。その際使っていた銃も弾かれるが、それも問題ない。
「こういう手ぶらになってしまうってのが弱点の一つだったわけだが、私は色々やったよ」
「急に何を!」
「このゲームの自由度を舐めてたって事さ」
弾かれた銃、落ちて転がっているライフルに向けて手をかざしてスキルを発動。
「後ろにも目を付けろって言われただろ?」
人差し指と中指を揃え、銃に向けて一定の動作をすると遠隔で射撃がされる。
勿論振りかぶって思い切り無防備を晒した所にライフルとわざと手放した銃でのクロスファイア。
6発撃ちのペッパーボックスも喰らっているので、耐えきれるHPは残っておらずに脳筋野郎が倒れ、勝利のアナウンス。
それを聞いたうえで新しい煙草を咥え、一服し。
「ま、70点ってとこだな」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます