361話 大乱闘ポンコツ下克上
視聴者の皆と一緒にクランをやり始めて、初めてのイベントな訳だけど、まさか皆バラバラになるとは思わなかったよね。まあ、そもそもの話としてうちのクランってよっぽどのファンじゃないとクランに入りますって人いないんだけどさ?
『今日は何やってんの?』
『イベント参戦、固定パが揃ってないから突発クエ狙い』
『ファンタジー装備で現代戦ってそうそうないよな』
多分だけど、このマップが次のアップデートで追加される所なんじゃない?名称的には第二世界って感じでさ。今のファンタジーマップも悪くはないんだけど、そろそろ手狭になってきたし、ヴィエ以降の街ってハードル高すぎだし?
『人口がんがん増えてるし、現代マップからファンタジーマップに行くってのも面白いな』
『ファンタジーはちょっと……ってのが現代から飛んでくるのも窓口を広げるって意味では正しい』
『現代ルートの方がガンナーはちっとは楽なんじゃね?』
ああー、その線は考えてなかった。確かに言われてみれば銃器って現代寄りの武器だから、現代マップってのを考えたらいい感じに手に入るって可能性は高いよね。しかも魔法撃てる銃が一般兵器として存在しているから、この金属薬莢やら火薬やら雷管やら弾丸を作りまくる作業から解放されるってのも嬉しいね。
『そのリアリティがガンナーの醍醐味とか言われただろ』
『それを言ってたのは元ボスと武器密造担当じゃなかったか?』
『恩人をないがしろにするひでえやつ』
はいはい、そうですねー……言って置くけど、別に銃弾作るのが嫌って訳じゃないし、あれこれ作って試すのも醍醐味って言うか楽しいのもしってっから。だからバイパーさんに特殊弾のレシピ教えて貰ったり、開発手伝いしてるじゃん?
『そういえば少し前に作った特殊弾はどうなったんだ』
『材料費だけでざっと計算すると、ポンコツの戦闘スタイルと噛み合ってない上に死ぬほど赤字で一瞬で破産する』
『そういうのは欠陥兵器って言うんだぞ』
何を言ってるんだ何を、ああいうのは浪漫兵器って言うんだよ。古事記にも載ってるじゃん。
『いや、載ってねえよ』
『ようやく元ボスの領域に辿り着いたわけだ』
『コストが高い物を全部浪漫兵器にするのやめーや』
だからって使わずに腐らせるのはねー、試作品だし、使いまくってもっと良く改良して安価になる方法を模索するってのも大事じゃん?そういう訳で、抗争クエストがあるみたいだし、そっちでぶっ放そう。んで、バイパーさんに報告して改良したうえでボスに対してぶつけてやろうぜ。
『やってる事は完全にチンピラ』
『抗争クエって流れどうなってんの』
『自陣営のNPCがプレイヤーと戦い始めると発生して、大多数戦になる。発生場所によるけど5つ巴になってすげえ泥沼化するときある』
それは遭遇してないかなー、とりあえず遮蔽越しに撃ち合ってるから参加しよ?NPC相手だから決まった返事しかしないんだけど、向こう側が敵ってのは分かるからすげえ分かりやすいわ。
『今の所3人だな』
『様子を見て接近してばら撒く?』
『いやいや、遠距離メインなんだし、素直にガンナーとして戦おうや』
うわ……私のコメント欄、荒れすぎ……。
まあ、いきなり突っ込んで行って返り討ちってのもねー、こういう時はしっかり相手の戦力やら攻撃やらやら確認してしっかり立ち回らないとね。
『全て受け売り』
さー、何の事ですかねー。
でも、こんな細々した抗争ばっかやってるのも馬鹿らしいって言うか手間だしガンカタ使いとしてはさくっと倒して次のクエスト受けよう?
『バトルジャンキー思考』
『散々揉まれてたからしっかり影響されてるわ』
血肉となってるから気にしちゃだーめ。あ、1人追加できたっぽい。こっちの方をチラチラ見てるね、結構掠めてる割に微動だにしないし、何かすげえ慣れてる感ある。
『あいつは……エースだ……』
『度胸あんなあ、VRだから顔の近くの攻撃って結構怖いよな』
ま、度胸があっても強くなきゃねぇ、よっぽど強力な攻撃か、トリッキーな攻撃をしてこない限りは私が驚く事ってまーったくないね。これでもあのボスとバトルジャンキー達に叩きあげられたわけだし、あの位強い相手じゃない限りはねー。それにボスだったらもう行動してるよ?
『圧倒的信頼感』
『ポンコツにとっちゃボスっていうか神』
それにさ、最初に抗争クエを開始していた3人が仕切ってるみたいねー、なおかつバラバラに動いてるから噛み合ってないっぽい。このイベントって急造のパーティが最初に組まれるから、そこで外れって言うかぎくしゃくしたりコミュ取れないときっついよね。
『だから今はソロなのか』
単純にまだこっちのマップに来てないだけだから!これでもちゃんとコミュとれますぅー。
『で、いつまでにらめっこしてんだ』
『向こうは向こうで派手な魔法と弓が主体だな』
『後2人はなんだろ、接近っぽい武器は見えるし、もう1人も魔法じゃね』
ぽいねー、前1後3ってとこ。まあ、派手にぶっ放してくれるおかげで爆炎上がってこっちの姿は見えないし、何だったら向こうの遠距離職も攻撃して来ないからやりやすいんだけど、さっ
『お、急に前出た』
『いつものガンカタスタイル押し付けか』
そういう事、今の内距離詰めて、固定ダメでちゃちゃっと倒してクエストクリアって行こうじゃん?
『大体油断してると攻撃貰うんだよな』
いやいや、そんな事……って、いっだぁ!?爆炎上がって視界悪いってのにめっちゃ正確にこっちに打ってきてねえかな、これ!
『銃声聞こえたぞ』
『ガンナー相手か、人口増えてるから何処かで会うとは思ったけど、結構早かったな』
しかも手練れだわ、あの後3のうち1人がガンナーだろうからよくもまあ、あんな土煙と爆炎の上がってる所から撃てる……って、私も撃てるわ。
『トラッカーって言うクッソ有能スキル』
『あれ欲しいけど、サブ職ガンナーは博打が過ぎる。武器併用できんのきついだろ』
そんな事よりも相手のガンナーが良い腕してる。適度に前出ようとするやつに足止め掛けに来るし、多数を取られない様に牽制と攻撃入れてくるわ。FPSTPS辺りのちゃんとしたゲーム出身か慣れてる人っぽいなあ……ああいう相手だと一撃重いから命中ガン上げして一撃必殺系のガンナーになってるとヤバい。
『すげえちゃんと研究してる』
そりゃね、大体のガンナータイプは叩きこまれたし?
対面の人は命中ガン上げで一発重視だと多分だけどライフル系じゃないかな。連射的にもそんなに多い訳じゃないし、数発撃ったら途切れるから装弾も3発くらいって感じ。
『確かに銃声3発が最大っぽいな』
『ポンコツのくせに、ポンコツのくせに!』
『元ボスが付けたあだ名が浸透してるだけであって、戦闘周りはしっかりしてるぞ』
ライフル、装弾3発のは確定で。連射力的にはマガジン使ってないとして、レバー、ボルトアクション当たりのそこそこ連射出来る銃ってとこかな……お、土煙晴れてきたかな?
『向こうの近接職がどこで飛び出てくるかってとこだな』
『此処まで撃ち合いしてるから下手に飛び出すと蜂の巣になるし、タイミング次第じゃね』
もうちょっと長引いて他の人来たら突っ込む?
流石にNPCと私だけじゃプレイヤー4人とはねえ……どこぞのうさ耳バトルジャンキーみたいに対複数で笑って立ち回れるほど強くないから、私って!
『ナチュラルなディス』
『あれは、単純に頭おかしい』
どっちにしろ、今はこの状況で勝ちを拾わないとねー。まあこんな時だからこそ、元ボスがいたら、人数差でビビってんじゃねえよって言われそうだし?だから向こうのMPと装填の隙を狙って、一発パイプ投げて、怯ませたらこっちから突っ込んで行こう。
『お、ついに攻勢に』
よーし、一発派手に行きますか。魔法の頻度と銃声の響きから……今くらいかなー。
って、うわっ……先手取られた!
『いきなり煙が上がったが、視界不良狙いか?』
『煙の有無はトラッカー問題で解決してるからな、向こうから出てくるか』
こっちもトラッカー使って、視認っと……しっかり体勢低いまま遮蔽で射線切りながらこっちに突っ込んでくるのいるわ。
『ライフルで装弾が少ないってのに距離を詰めるか……?』
『言われたらそうだな、長物、ライフルなら銃剣での接近戦狙いか』
『……何か違う気がする』
ま、接近してくれるならこっちとしても良いんだけどねー。
ばんばーんと、軽く迎撃して……んん?
『なんかもう一個飛んできたぞ』
『パイプボム?』
ちっ、ちょい下がるか……いきなりやられるのはいかんけど……んあ!?
『フラッシュバンじゃん!?』
『うお、まぶしっ』
うわ、これ作ってるのいたのかよ!目瞑っちゃうとトラッカーも意味ないし、慣れてる相手か!目瞑っててもしっかり状態異常の表示出てくれるのは嬉しいけど、眩みって初めて聞くわ……って、いでで、いでで!がっつり追撃してくるしちゃんとしたFPSプレイヤーだよ!
『視聴者は状態異常にならないから一瞬眩しいだけなのは良いね』
『ポンコツは大佐状態だし引くしかないな』
ああー、やべやべ、死ぬかと思った……こっちのNPC盾にしてすぐに引いて正解だったわ。いきなりあんな隠し玉持ってるって、ガンナー界隈は恐ろしいわ。
『未知数過ぎんだろ……ガンナー』
『素材さえ手に入れれば誰でも作れるもんじゃね?レアメタルもあるし』
『マグネシウムさえ手に入ればすぐよ』
しっかり攻撃当てたら引いて遮蔽に隠れて様子見してくるし、こりゃー、本腰入れんとダメっぽいね。
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