第180話『魔法をかける・1』


魔法少女マヂカ・180


『魔法をかける・1』語り手:マヂカ    






マヂカ: ペットボトル一本分の水を想像する。


ノンコ: サイズは?


マヂカ: 馴染みのあるサイズでいいぞ。


ノンコ: ……これかなあ?


    ノンコがイメージしたペットボトルが浮かび上がる。


マヂカ: なんで2リットルなんだ!?


ノンコ: うちは、普段は2リットルのを冷蔵庫に入れといて、その都度コップに入れるんだよ(^▽^)/


マヂカ: 500CCのを想像しろ。


ノンコ: ええと…………


マヂカ: それは200CCの紙パックだ。


ノンコ: 500CCなんて、ふだん飲まないからむつかしいよ(^_^;)


マヂカ: 仕方ない、取りあえずは、それでいこう。


ノンコ: よし……(空中に紙パックが浮かび上がる)


マヂカ: ……よし、次は、その紙パックに一杯の水が入っていると想像するんだ。


ノンコ: うん……こんくらいかなあ(紙パックがわずかに沈む) おお、入った!


マヂカ: よし、じゃ、紙パックにノズルを付けてやろう。


ノンコ: おお、なんかかっこよくなった!


マヂカ: じゃ、ノズルを向けて、これに撃ってみろ。


ノンコ: 大きな桃だ!


マヂカ: 撃て!


ノンコ: おお!


 プシューーー!


ノンコ: できたあ!


マヂカ: あとは、実際にやってみて慣れるんだな。


ノンコ: うん! でも、どうやってリアルな水が出てくるの?


マヂカ: 空気中の水蒸気を集めて凝縮しているんだ。初歩的な魔法だ。これで問題解決だろ。


ノンコ: うん、ありがとうマヂカ!


 意気揚々とノンコはトイレに向かった。


 ちょっと疲れた。


 ほんの初級魔法少女のノンコは自力では魔法を習得できないので、ちょっと力を貸してやったのだ。


 こういうやり方はくたびれるのだ。


 まあ、気のいいやつだから、少しづつ自力で憶えてくれるだろう。




 さて、問題は霧子だ。




 とにかく部屋から連れ出して学校に連れて行かなければ話にならない。


 令和の時代みたいに悠長にカウンセリングなんてやっていられない。


 少しショックを与えてやって、なにがなんでも学校に行かなければならない状況にしてやらなければな。


 よいしょっと。


 ベッドに寝っ転がって、高坂侯爵家の歴史をたどってみることにする。


 高坂家の歴史は安土桃山時代の高坂光孝という男にさかのぼる。関が原の戦いでチラッと見た事があるが、その程度。まあ、面識のない奴だから工作はしやすいだろう……たしか近江の地侍で、石田三成と同じころに秀吉に召し抱えられている。三成ほどの切れ者ではないが、実直な男だったな。


 よし、この線でいこう。


 決心すると、霧子の夢の中に入ってやった……。


 





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る