俺達ルームシェアしている友達と何が違うんですか

作者 辰井圭斗

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★★★ Excellent!!!

 amazarashiという方の曲に『僕が死のうと思ったのは』というものがある。この歌と出逢ったのはつい先月のことで。嗚呼、なんて美しいんだろうかとそんな感慨を抱いた。
 聴いてみれば、分かってくれるだろうか。
 彼或いは彼女は死のうとしているのだ。死のうとしていて、その理由を探している。探して、見つけた理由から必死に足掻いて、最後には微かな希望の光を残してこの曲は終わる。

 さて、今作のレビューにこの曲の説明を加えたかったのは他でもない、この歌と今作が重なって見えたからだ。
 絶望しながら、それでも尚人生というものを続ける。
 BLとタグ付けされているからにはそういう要素があるのは当然で、しかし、それだけで敬遠するべきものではない。
 云うなれば、"彼"の人生はジェットコースターなのだと周りにいる人間は称する。しかしながら、乗っている当人にすれば、そんなに楽しい乗り物ではないと声を大にして云いたいことだろう。
 地獄行きの特急券を片手に、されど今日も生きることを止めないように。微かな希望を掴むために明日を生きるのだ。
 私たちは希望の光を灯すため、生まれてきたのだから。

 この作品の素晴らしさを上手く伝えられたかは自信がないが、一人の読者として少しでもこの物語が続いてくれることを願う。 

★★★ Excellent!!!

誰しも終わってほしくない作品の一つや二つあるだろうが、終わりを迎えて作者は大丈夫なのだろうかと思わせる作品は、後にも先にもこの作品くらいなのではあるまいか。というより、そう何作もあっては堪らない。

世に書かざるを得ない人というのはざらにいて、生来自身はそうした質であると作品を介して訴えかけてくる人もまたざらなのだけれど。

こうまで、形にしなければ保てなかったのだろうなぁ──と。書かなければ、本当にどうにかなってしまっていたのではないかと、曇り引きずられるほど、作者の心象(と呼ぶには些か生々しい)を落とし込んだ作品は稀なのではないかと。

web小説特有の"ライブ感"を味わうには随分間が空いてしまったが、読了した今となっては間が空いたからこそ作品として本作を読み終えることができたのではないかと、読み手として満足している(恐らくだが、リアルタイムで追っていたらこの読後感には浸れていない)。

自論だし異論も認めるが、人はなりたいものになっても幸せにはなれない。それゆえ、幸せを捨ててでもなりたいものが真になりたいものなのだろうなぁ──というのがここ最近の着地点である。

それを踏まえた上で、私は当の作者に作家になってほしいと思っている。

素質やあり方からもったいないの精神でなるべきだと説うているのではなく、なってほしいというただそれだけの話。これもまた呪いのひとつとなりはしないだろうか。

(2021/03/29)

この作品の第一部を読了したとき、正直に云うとやや困惑したのである。"僕"と省吾が単なる友人以上の関係となる上で、"僕"の双極性障碍が壁として描かれることはあっても、男性同士であることはほぼ壁として描かれることがなかったので。

もちろん、世の中は広い。元よりそうでなくとも好き合ったら偶々同性でしたという理由から、然したる葛藤もなくやんわり結ばれるケースだって… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

ひとが生きるとは。ひとを愛するとは。おのれとはなに者であるのか。

それを語ろうするのが文学ではないかと、こっそり思っています。

こころ震える物語です。
そうならざるを得ないとしても、主人公の生きることへの真摯さと真面目さ。
もう一人の主人公の本質を見る人間性。
まだ、第一部読了後ですが、続けて第二部でふたりに会えることがなによりも嬉しい。

ぜひ、読んでください。

「行けよ、地獄に。文学者だろ」
この台詞、何度も読み返しました。
なぜか涙が出るのです。

★★★ Excellent!!!

BLのお話ではあります。
けれども、詩がテーマです。
文学がテーマです。
美しい日常がテーマです。
死にたいひとを死なせないことがテーマです・・・

まだ作品は連載中ですので、これからの展開も様々にうつろうことでしょう。それも楽しみです。

今ここまで拝読して、いじめの根絶と「読む方が読んだ瞬間に救われる小説。目が覚めても死にたい気持ちにならず救われ続ける小説」を目指すわたしの志とも一致する作品だと感じています。

主人公のふたり、淳と省吾がとても素敵です。美しいです。

お勧めいたします。

★★★ Excellent!!!

1.雪のような温度が伝わってくる、端的で軽快な表現
 あまりにもシンプルな表現で読みやすいのに、同時発生する沢山の心情が十全に表現されていて、それがむやみに熱くなることなく静けさが保たれています。

2.蠱惑的なリアリティ
 これは読んでもいいものか、そもそもレビューを書いていいものかと悩むレベルのリアリティと蠱惑的情調が文章を支配しています。これは語っていいものかと。

3.終わりを志向しない、だからわからない
 完結するために書かれているというより、ひたすら登場人物達の激しさと静けさが行き交っていて、それを語り続けるためにある文章だと認識されたほうがよいと思います。終わるための、展開のためのご都合に動かされていない生のキャラクターたちが魅力です。
 だからこそ、この物語をただ物語と呼ぶのでは、あまりにも浅いのです。


 敢えて具体的な内容は伏せましたが、是非読んでみて下さい。また、作者:辰井圭斗さんの他作品もとても魅力的です。

★★★ Excellent!!!

双極性障害に苦しめられる学生と頼りがいのある優しい先輩のルームシェアライフを描く、凄まじい引力を持つ文学作品です。

主人公に容赦なく襲ってくる鬱と躁は、読者の心をも激しく揺さぶります。
血を吐くような叫びに満ちていながらも、冬の星空のように美しい文章。そして、ストーブのように温かい、ふたりの交流。これは紛れもなく傑作文学作品です。

BL要素がありますが、それだけで敬遠すると絶対に損をします。
本当に、魂のこもった作品です。
とにかく、ひとりでも多くの人に読んでほしいと思います。

★★★ Excellent!!!

美しい物語です。
恋という言葉が安っぽく感じられる、深い情の物語。

前半は苦悩が続きますが、関係性が発展してからの2人のやりとりは可愛らしく、楽しく読めました。

特に「できた人間」の省吾さんが、裏でモダモダしてる描写なんかはとても好きでした。

BLですが、それだけではありません。
優れた人間ドラマです。