★★★ Excellent!!!
絶望に打ちひしがれる日々の片隅に 縋 十夏
amazarashiという方の曲に『僕が死のうと思ったのは』というものがある。この歌と出逢ったのはつい先月のことで。嗚呼、なんて美しいんだろうかとそんな感慨を抱いた。
聴いてみれば、分かってくれるだろうか。
彼或いは彼女は死のうとしているのだ。死のうとしていて、その理由を探している。探して、見つけた理由から必死に足掻いて、最後には微かな希望の光を残してこの曲は終わる。
さて、今作のレビューにこの曲の説明を加えたかったのは他でもない、この歌と今作が重なって見えたからだ。
絶望しながら、それでも尚人生というものを続ける。
BLとタグ付けされているからにはそういう要素があるのは当然で、しかし、それだけで敬遠するべきものではない。
云うなれば、"彼"の人生はジェットコースターなのだと周りにいる人間は称する。しかしながら、乗っている当人にすれば、そんなに楽しい乗り物ではないと声を大にして云いたいことだろう。
地獄行きの特急券を片手に、されど今日も生きることを止めないように。微かな希望を掴むために明日を生きるのだ。
私たちは希望の光を灯すため、生まれてきたのだから。
この作品の素晴らしさを上手く伝えられたかは自信がないが、一人の読者として少しでもこの物語が続いてくれることを願う。