第21話:思念波と時空の神宝についての考察

「やっと、気力が戻った。紅のドラゴンになっての攻撃の思念波の過度の浪費は、後で相当負担になるな」


(前にも思ったけど、思念波とはどういうものなんだろうか)


「思念波を発動させる部位は、脳の最奥の部分にある器官だ。我々は、脳内コアと呼んでおる。令時の生物学の記憶から引用すると、『松果体』と呼ばれる領域だな」


「松果体? ああ、視床後部の一部を構成している部分だな。進化的には、頭頂眼といわれ、目の構成部に由来する。まあ、まだ未知の部分が多い器官だったはず」


「令時の記憶を漁ると、我でも勉強になるな。感覚的に知っていても系統的には知らないからな」


「そうか、十六夜も博識だけど、見た目は少女だけど、歳はいくつだったかな?」


「まあ、百五十歳かな」


「前は三百歳って言ってなかったか? さばをよんだな」


「覚えてるなら聞かないで欲しいな……。令時のような学問を修めた者から、記憶を共有できれば、我も、もっと博識になるのだが。かつて我は、そのような者とは遭遇できなかった。今ある知識はすべて、過去から継承された記憶と書物からの知識だ」


「なるほど、俺がいた時代から、ここは推定一万年は経過しているはずだが科学技術の発達はそれほどない、というかむしろ退化している。代わりに別のテクノロジーが相当に発達しているようだ。思念波の制御とか、翡翠のエネルギー変換などか発達しているようだが」


「この世界でも、思念波で意思の疎通をできる者は多いが、より高度な実態魔法を発現し、精神を物理作用に変換できるものは、そうは多くはいない」


「十六夜の話からすると思念波は、脳内コア(松果体部位)から発動されるのだな。松果体は脊椎動物にはあるが昆虫種にはない。やつらも異種の思念波を操っているがどうやって?」


「そこは、我も知らん」


「いや、待てよ、そうか! 松果体は進化過程では、頭頂眼に由来する。頭頂眼は昆虫種にも一部あったはず。それでか、やつらの思念波の思考は単純な割りに不明だが、少し理解できるのは。昆虫と話ができるなんて夢にも思ってなかったが」


「フフフ、レイジ。ワタシは蜂妖精女王だから昆虫ともハナシがデキルのだ! その松ナントかと頭ナントかを両方モッテイルとイウコトダナ」


 十三夜は得意げな顔で令時の目を見つめている。(いや、昆虫と話ができないほうがいいかも。鬱陶しすぎる)遠い目で、十三夜を見つめ返した。


「まあ、俺も十三夜が装着している投影裸眼ネックレスを経由しなくても、昆虫の思念波を理解できるようになったけどな。第三の眼の開眼だ。第三の眼……、そういえば第三の眼というのも、松果体に関連してたな。ヨガで何番目か忘れたけどチャクラに該当する」


「令時の記憶から、こういうのを見つけたけど」十六夜は、令時の記憶から第三の眼を検索した。


『古代エジプトでは、第三の眼を持つものがいた。


 それは、ホルスの目といわれていた。


 松果体を含む脳の中心部分をデザインしている』


「十六夜の俺の記憶からの検索は凄く便利だな。自分では、『ホルスの目』は思い出せなかった、せいぜいヨガ関連までだ」


(そうか! 古代エジプトの最強の守護神の黄金の甲虫スカラベ、頭頂眼から由来する第三の眼、昆虫種との古代からの接点だ。でも、どうしてここ日本の昆虫種の魔物が黄金の甲虫スカラベを主としているのか? これはまだ謎のままだな)


「令時、言ってなかったが、時空の神宝の中心コアであるコアナンバー十二は、脳内コアを表しておる。時空の欠片を全部集めて、時空の神宝を錬成すれば、前にも言ったように、千夜一夜を時空位相によって呼び出せる。それと、時空の神宝を所有するものは、『賢者の叡智』を手にいれることができる」


「賢者の叡智? 時空の神宝って、まさかあの賢者の石なのか!」


「令時の記憶から一番類似するキーワードは、賢者の石だな」


「賢者の石ってフィクションだよ。フィクション」


「いや、ここでは実在する。ただ今は時空の欠片の状態だが」


「そうか、時空の神宝でもある賢者の石を錬成すればすべての理が解明できるのか。元の世界にも戻れる知識も得られるかもしれない」


「レイジ、元のセカイにモドリタイのか?」


「ああ、もちろん。信士と唐條とともに家族の元に」


「ソノトキはワタシもついてイクよ。ゼッタイに」


「妖精というものを、俺の世界でも見ることができる人もいたけど、俺には見えない。俺の世界では、十三夜を視認することができないかもしれない」


「イイヨ、見えなくても、イツモ、傍にイルから」

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