第16話:無限収納ザックとボックスの錬成

 魔物がいなくなった洞窟内の白水晶柱は暗赤色から薄水色に変わっており、その中に赤い光点が一つあった。黄金の片牙凶悪巨大蟻の魔鉱石であった。さっそく、サクは魔鉱石を拾い上げてザックに入れた。ザックの中には凶悪巨大蜂の魔鉱石、黄金の片牙凶悪巨大蟻の魔鉱石、最上級翡翠、伝説級翡翠が無造作に入っている。


 この上、ここの最上級の白水晶を採取して入れるとなると、もうサクには持てない重さになってしまうし容量も満杯になってしまうぐらいに膨れ上がっていた。


「サク、そのザックの中身を全部出して、ここに置いてくれ」


「無限収納無重力ザックを錬成してみる」


「重さを操作できる連想実体魔法は存在しないのでここは、まず、十五夜の空間制御で、無限の空間化を実施する。重さが無限になってしまうので、俺の時間制御でゼロの時間化で重量を相殺するのがよいと思う」とは言っても思念波の強度によって、どこまで具現化できるかも令時自身もわからなかった。やってみるしかないようだった。


「十五夜、そのザックの中身を連想実体魔法の空間制御で、無限大に錬成してみて」


「令時さん、無限大ってどう想像すればいいの」


「そうだなどこまでも果てがない夜空の星空を思って、端の端まで」


「ところで、俺のゼロの時間ってどう想像すれば?」


「それはだ、宇宙創造の時まで遡るのじゃ、ビックバンだな。時間の始まりの創めの創めじゃ」


「十六夜、そんなこと知ってるのか?」


「いや、令時の記憶から辿った」


「なるほど。イメージも相反するじゃないか。一方は『端の端』もう一方は『創めの創め』か」


 十五夜は端の端、令時は創めの創めをイメージし、ザックを同時にアップグレードした。ザックの見た目は変わらなかったが、何も入っていないのに丸く膨れていた。


「サク、ザックにそこの直径二メートルの切断された最上級の白水晶柱を入れてみろ」


「え、どうやって? そんなの入らないよ」


「ザックの口をその白水晶柱に触れればいいはずだ」


 巨大な白水晶柱は何事もなくザックの中に入り、重さもちょっと増えたように感じるだけだ。取り出しも問題なくできた。無限収納ザックの完成であった。令時はアイテムをザックにすべて戻した。更に最上級の白水晶柱をもう一本入れた。重さはそれほど変化はなかった。


「サク、このザックを持ってくれ。いくらでも入るはずだ」


「わかった。いっぱい入ってるのに全然重くない! こんな便利なもの聞いたことがない」


「母上から聞いたことがあります。過去に無限収納ボックスを錬成した令位守護者が居たって」


「リン、戻ったら無限収納ボックスの話を聞かせてもらおうかな」


 一行は屋敷に無事帰還した。


「母上、父の仇を討ちました」


「そうか、お前たち無事でなにより、リン良くやった。早神様、このたびはありがとうございました。なんてお礼をすれば」


「サクラ殿、お礼はもうすでに時空の欠片を採取できたのでそれだけで十分です。魔物もいなくなり、洞窟内は薄水色で、霊気に満ちており、今後は安心して最上級の白水晶を採取できるはずです」


「はい、これでこの集落だけでなく近隣の集落にも配布できるようになります」


「最上級の白水晶柱を採取したので、庭に出しておきました。あそこにあります」


「おお、これほどの巨大な白水晶柱を、どうやってここまで運ばれたのですか?」


「この無限収納ザックに入れて持ってきました。ほぼ無制限に収納できます。それで、リンから聞いたのですがこの無限収納ができるアイテムが過去にあったと」


「遺産級のアイテムの無限収納ボックスのことですね」


「遺産級アイテムなのですか。現存するのでしょうか」


「はい、この世界に一個だけ存在します。前の令位守護者様が錬成されたと、記録にあります」


「それは、今どこにあるのでしょうか?」


「山城集落のどこかにあるらしいのですが、詳細は不明です。無限収納ボックスには、先代の令位守護者様が集めた収集品が入っているらしいです」


「興味が大いに沸きますね。何が入ってるのか」


「はい、私どもには理解不明な品ばかりという噂です。ただ宝物もさんざんあるようですし、それを手にいれようと探索者も多々いるようです」


「先代の令位守護者が錬成したのか、俺と同じ方法だとしたら、一般相対性理論、特殊相対性理論の概念がないと生み出せない。どこの誰が錬成したのだろうか。山城に行けば何か手がかりになるものがあるのだろうか。すべての鍵は、山城地域にあるようだ。


「白水晶柱に封入されたスマートフォンも手に入れたのですが、これを取り出す方法はあるでしょうか?」


「白水晶を自在に加工する職人がおりますので、その者に預けていただければ取り出すように指示しますが」


「それは、ありがたい。預けますので取り出すようにお願いします」


「はい、承知しました。必ず取り出すようにと指示しておきます。早神様は、これからどちらへ? 山城ですか」


「はい、山城に向かおうと思います」


「山城に行かれるのでしたら、途中の水度集落跡地に立ち寄られるとよいかと思います。その地は太古から古墳群があったのですが、今は様相が一変し、魔物がそれぞれ住んでおり、縄張りを張っていますが、外敵に対しては連携してくるのでやっかいです。人は住んでおりません。時空の欠片は、それぞれに存在するので、複数集めることができると思います。もちろん、その地を迂回することもできますが」


「時空の欠片は遅かれ早かれ集めないといけないので、水度集落跡地に行ってみます」


「令時兄ちゃん、僕も一緒に冒険したい」


「無理を言うでない、ハズキ」


「そうだな、ハズキは母上を守りなさい」


「でも、ハクは同い年なのに冒険してるよ」


「僕は、冒険といっしょに、行方不明の父も探してるんだ」


「そういうことだ、ハズキ。流星剣をもっと鍛錬して使えるようになったら、また考えてやるから。その時まで待て」


「そういたします」


「リンもその時まで。あの神九条二連撃はすばらしかった。更に鍛錬して剣の最強者になるんだ」


「承知しました。早神様のお戻りをずっと待っております」

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