「どっこいしょ。」




壁や垂れ下がるロープを使って二階に上がる。






本当にこれで良かったのか?


別の道を使ってダムに行けたんじゃないか?






色々考えながら田中はよじ登る。








何で、風間さんは車をおいて行ったのだろう?


田中の疑問や後悔はつきなかった。




会って半日ほどの相手の為に、命がけでダムに向かうなんて…


考えられないな昔の自分だったら。








田中は二階を見渡した。






迷彩服を着た人が一人、後はおじいさんやおばあさん、サラリーマンぽい人や主婦ぽい人が約二十人いた。






子供はいなかった。






部屋の隅に鉄の檻がありその中には、ポメラニアンが十匹程いる。






迷彩服の男が話し掛ける。


「おっと、檻には近付くなよ、噛まれるぜ。」






「ああ、はい。」






「気のない返事だなー、


俺は林だ。




まぁー朝まで休んどきな。」






何故、ポメラニアンを檻にいれているんだ?


さっきの鈴木さんの話だと、咬まれた奴は殺すんじゃなかったのか?






「訳がわからない。」






田中がそう呟くと集団の中の一人が話し掛けてきた。






「あら、こんばんは、私は間宮礼子って言います。」






「ああ、はい。」






「本当に訳がわからないですよねー、




どれが本当なのかしら?」






そう言うと間宮はノートパソコンを見せてくれた。

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