第25話

部屋に戻ると、孔雀くんが人形のようにベッドに横たわっていた。

一緒死んでるんじゃないかと焦ったが、別にそういうわけではなさそうだ。

氷のように透き通っている髪色だと思っていたが、よく見たら少し青みがかっていて、どこか湖を思わせる。

まつ毛は長くて量が多い。まつ毛に命をかける女子がみたら、メイク道具を壊しながら発狂するだろう。

陶磁器のような肌に、モデルのように整った顔立ち。

これがどことなく、彼が浮世離れして見える原因の一つだろうな。

彼は疲れているのか、熟睡していた。

俺もなんだか疲れた。

学科長に詰め寄られるという異常な事態のせいで、まだ夕方なのに中々ボリューミーな一日だ。

食べ物に例えるなら、バカでかいハンバーグをバカでかいパンではさんで、無理やりハンバーガーにしました、みたいな感じだ。

いかん、逆にわけわからん。

俺は自分のベッドに寝転がる。

似鳥学科長は、俺が突然変異で魔法使いになったわけではないことを見抜いていた。

その上、俺が誰かに手助けをしてもらってこの力を得たこともわかっている。

秀の行なった儀式は、高盛のいう伝授なのだろうか。

だがもし伝授なら、前提として秀は魔法使いである必要がある。

しかも、俺は一型だから、秀は────


おかしくないか?


一型は本来、遺伝か突然変異でしか発生しない。

誰かからの伝授で魔法を得た者は、必ず一段階力が下がる。

高盛の言っていたことが本当なら、伝授による俺の魔法は必ず二型以下のはずだ。

「痛っ……」

頭が割れるように痛む。

この前秀と会った時、あいつはなんと言っていた?

霧がかった秀の顔と、トンネルの中のように反響して上手く聞き取れない秀の声。

秀、お前は───何者だ?

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