第19話

「……」

孔雀はその色素の薄い瞳で、じっと蛇目先生を見た。

「明日、入学式のあとに学科長室に来るように。編入生だから、何かとやることがある」

孔雀は「わかりました」とうなずくと、少し間をあけて、蛇目先生に問いかけた。

「それは、編入生としてのテスト結果についてですか?」

蛇目先生は切れ長な目を細めると、「いいや」と言った。

「編入生だからな。手続きがなにかと多い。書類を渡すから、カバンを持ってこないと悲惨な思いをするぞ」


「急にどうした?電話なんてしてきて」

俺は消灯時間直前に、秀からかかってきた電話にでていた。

「いや、さっき明日学科長に会うってメッセージにきてたからさ。……ここは、親友の秀様が直々に応援してあげようかと思って」

「うわぁ、なんかウザ」

俺は電話越しに、久しぶりの秀の声を懐かしんだ。

「そういや、魔法の具合はどうだ?」

「まだよくわかんねぇ。あ、でもさ、今日危ないことがあってさ」

俺はメイシと遭遇したことや、虎太郎の魔法をくらったことを話した。

「……メイシと遭遇、か」

「おう、ちょービビった」

「……」

「秀?」

普段は饒舌な秀は、こっちが不安になるほど何も言わなかった。

「……なぁ、達磨。これから会えないか?」

「ばか。お前は家だけど、俺は寮だぞ。もうすぐ消灯時間だ」

「……頼む」

消え入りそうな声で、秀は懇願してきた。

基本的に自信家な秀のそんな声を聞くのは初めてだった。

「ちゃんと、バレないようにルートとか教えてるから」

「……わかったよ。何時ごろ、どこで落ち合う?」


夜の森はやけに不気味だった。

ガサガサと、静まり返ったはずの木々が、ときおり意志を持ったように動く。

「あっ、達磨!」

「秀」

ぼんやりと月明かりに照らされて、白く輝く秀は、悔しいがイケメンだった。

「よお、あれ、お前急に背ぇのびた?」

「えっ、そう?あ、達磨が縮んだだけだよ」

他愛のないやり取りをしてから、秀は少し表情を引き締めた。

「達磨、言っておきたいことがある」

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