第18話

「うわっ!」

俺はペットボトルを避けると、呆然と虎太郎を見た。

「……今の」

「魔法だよ。何だ。そんな物珍しくねぇだろ」

虎太郎は不思議そうな顔をした。

あぁ、そうか。

「いや、突然変異で魔法に関わるようになったから……」

「そうだったな」

物珍しそうな顔で、虎太郎は俺を見ていた。

中等部からいるやつとか、それこそ氷室孔雀のような家に育ったやつ以外、魔法なんて遠い世界の話だ。

俺だけ、この学校のなかで浮いてる。

疎外感というには、そこまで魔法の世界に入ってはいないから、他人事、といったほうが正しい。


「怒られたってな」

虎太郎や俺を囲んで、様々な人が面白そうに話しかけてきた。

「高盛、こうなることわかってたから俺に行かせたんだろ」

「えへへ〜」

「火守はこえ〜もんな」

各々が、各々思うことをバラバラとしゃべる。

「そういえば、突然変異なんだってね」

一人の女の子が、ふと思ったように言った。

「あぁ、うん」

真っ黒な夜の海を思わせる髪に、吸い込まれそうな大きな瞳が目を引く子だった。

「じゃあ、気をつけたほうがいいよ」

「え?」

彼女は不気味な表情だった。

「突然変異型は、周りの人も巻き込み、不幸を起こす……つまり、メイシに狙われやすいんだって。早死しやすいってさ」

「ふこ……早死……」

俺は鯉みたいにパクパクと口を動かすだけだった。

「もう部屋にいなくてはならない時間だろう。いつまで乱痴気騒ぎをしている気だ」

後ろから声がした。

振り返ると、俺の面接をした女性、蛇目先生がいた。

「あ、蛇目先生。こんばんは」

「新田、お前は危険を察知する能力が著しく乏しいようだな」

「え?」

俺は辺りを見渡すと、誰もいなかった。

「え゛っ!なんでっ!?」

「寮では規則を破ったものには罰を与える決まりとなっている。ちなみに、午後九時までには各々部屋に戻らなくてはならない。さらに言うと、原則十一時消灯だ」

「えええっ!?」

俺はあごがはずれるほど、あんぐりと口を開けた。

「まぁ、寮に来て初日だ。ルールもまだわからないだろうし、大目に見よう」

俺は見捨てられたことに対する怒りと、大目に見てもらえた安心感で変な顔をしてしまった。

「で、話がそれた。お前と、氷室に用があるんだ」

「……俺と、孔雀に?」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る