第15話

「えっ、何あれっ!うわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわ!!!」

「あー、もう。こんなんでビビってたら、メイシに遭遇したらオワタだよ。」

虎太郎はため息まじりに言う。

「だって!げぇ、何あのヘドロ!あれはメイシじゃないのか!?あーんな、おっかないんだぞ!」

俺は虎太郎の肩を掴んでゆする。

「うぷ。気持ち悪くなるからやめろ。」と虎太郎が懇願するので、俺は我に返ってやめた。

「ふーっ、高盛のやつ、こうなるとわかってて俺に押しつけたな……。あいついつも俺を格下だと思って見下してくるんだ。」

「んなことどーでもいいよ!それより、何!?あれ!ヘドロ!」

虎太郎は、「これ、中学生の時に習ったやつだぞ。」と余計な一言を言った後、解説してくれた。

「あれは冥界の嫌な空気が、人間界にきて化学反応

をおこしてスライム状になったやつだ。メイシゲートとセットで現れる。」

虎太郎は偉そうにふんぞり返って、続ける。

「メイシゲートはメイシが気づかなけりゃ、メイシが出てくることはない。ただ、勝手に人間界と冥界にトンネルが開通したんだ。冥界あっちの空気が人間界こっちに、人間界こっちの空気が冥界あっちに、流れ出ることだってある。」

虎太郎はそう言うと、ヘドロを焼き尽くす男性に視線を向けた。

「つーか、帰らないとまずいぞ。」

虎太郎はめんどくさそうに言った。

「あそこいるの、火守ひもりだ。」

「火守?」

俺は虎太郎の視線の先を見た。

金髪だけど、染めていないのか、頭の上の方が黒くてプリンみたいになっている。

炎を勢いよく操り、ヘドロを灰にしていた。

「誰、あのCO2を増やしている人。」

「知らねぇのかよ。」

虎太郎は呆れたように、大袈裟にため息をつくと、教えてくれた。

火守ひもり狼牙おおが。憤怒の二型で、日本の現役憤怒魔法使いじゃ、たぶん一番だ。」

虎太郎はそう言うと、くるりと背を向けた。

「どこ行くんだ?」

「逃げる。本当は戦闘中のエリアに、非武装の人間は入っちゃいけないんだ。」

「そうなのか!?なら帰ろう!」

俺はそそくさと立ち上がって、虎太郎についていこうとした。

その時だった。

「ご覧なさい、ツァーリス!僕の予想とは少し違う展開じゃあないの!」

不気味な声がした。

戦闘経験の皆無な俺でも、本能でわかる。

『逃げろ。』

体が、脳みそが、俺の毛穴に至るまで。

全てがそう叫んでいる。

「高盛のやつ……。」

虎太郎はふーっ、と息を吐いた。

自分を落ち着かせるように。

「達磨、これがな……。」

目の前に、そいつは現れた。

「───メイシだ。」

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