第12話

「孔雀のお父さん──氷室獅堂は、さすがに知ってるよね?」

「知ってるよ」

俺は昔、テレビの画面の向こうで救助活動を行なう氷室獅堂を思い出した。

前線に立って戦闘をする他の魔法使いと比べればやや華奢な方ではあるが、それでも孔雀よりも背が高く、ガタイはいい人だったはずだ。

氷を生み出し、瓦礫を支えながら救助している姿は本物のヒーローのようだった。

「日本の現役魔法使いエース、だよな」

「そう。『傲慢』の一型だね。『傲慢』は魔法の中では使える人数は三番目に少ないんだ。ちなみに一番少ないのが、達磨の使える『嫉妬』。二番目が『色欲』。この二つは最初の魔法使いの弟子の子孫が絶えているから、最初の『嫉妬』『色欲』を受け継ぐ純粋な一型は、ある意味ではいないってことになるんだ」

「へぇ、そうなのか。複雑なんだな」

俺は初耳な情報が多くて、少し感心する。

どうやら魔法を使う人の数でも、色々事情があるようだ。

「話が逸れたね」

高盛はチョコチップのクッキーを手に取り、食べてから再び話し始める。

「『傲慢』は使う人は少ないけれど、使う人の中で一型の人の割合が、全ての魔法の種類の中で最も多いんだ」

「そうなのか」

「うん。普通は平均すると一型の人は各魔法で、一割から二割程度。でも、『傲慢』は約四割が一型なんだよ」

「倍くらいあるな!」

「理由は単純。『伝授』することを他の魔法と比べて圧倒的に嫌うんだよ、『傲慢』の連中はね」

「『伝授』?」

高盛はそこからか、という顔をした。

「『伝授』は、魔法を第三者に与える方法」

「えっ、それ……」

俺のやった儀式じゃないか、という言葉がのどの辺りまでせり上がってきた。

俺はどうにか押さえ込んで、つとめて冷静に、無知なふりをする。

「どうやって、やるの?」

「うーん、僕もやったことないし、見たことないからわかんないんだけどさ」

高盛はそう前置きして話し出した。

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