第11話

「け〜〜ぴぃ〜〜〜!」

「け〜〜ぴぃ〜〜〜!」

高盛がオレンジジュースの入ったグラスをかかげると、何人かが応じるようにグラスをかかげて叫ぶ。

「……けーぴー」

鉄真がボソッと呟いてグラスをかかげた。

「……けーぴー?」

俺はよくわからないまま、その単語をつぶやく。

「KP。乾杯って意味だよ」

「へ〜え、そう」

俺は生返事で高盛に答えた。

俺は改めて、ぐるりと周りを見回した。

割と人数も多くて、誰が同じクラスなのかよくわからない。

魔法科だというから、もっと人が少ないかと思えば、さにあらず。

普通科よりは少ないが、二クラスくらいしかない、という感じでもなさそうだ。

「そういや、達磨は何の魔法を使うの?何型?」

「ん?あ、えと、嫉妬の一型」

高盛はその大きな目をぱちぱちと瞬かせた。

「嫉妬?しかも一型なの!?突然出てくるやつ?それとも家が一型?」

「あー……突然」

俺は秀との約束を思い出す。

俺の得た魔法というのは、秀の怪しい情報をもとに行った、怪しいカルト的な儀式の結果手にした、偶然の産物だ。

誰かに漏らしたら、何か大変なことになると秀は冷静に分析した。

『厄介なことになりたくなかったら、絶対に言うなよ』

秀はそう言っていた。

「ふう〜ん、じゃあ、気をつけなきゃだよね」

高盛は少しだけ真剣なトーンで言う。

「何を?」

俺の言葉に、「知らないの?」と不思議そうな顔をした。

「突然魔法が使えるようになる、いわゆる『突然変異型』は、殉職しやすいんだって」

いきなり後頭部を、スコップか何かでぶん殴られた気分だった。

いや、殴られてたかもしれないな。

俺はクラクラと回り出す視界で、どうにか踏ん張る。

「……まじ?」

「あっはは、まぁ、噂だよ〜。都市伝説、都市伝説」

高盛は「ごめん、気にしないで」とあっけらかんと笑った。

でも、火のないところに煙は立たない。

何かしら、その噂のもとになるような話があるのだろう。

あの都市伝説オタクの秀なら何か知ってるかもしれない。

俺は頃合いを見て、秀に連絡を入れようと思った。

「でもさぁ、大変だろーね、達磨」

「なんでだ?『突然変異型で、殉職する』からか?」

「あー、もう。ごめんて。からかいすぎたよ」

高盛はグラスを傾けると、俺の顔を覗き込んでから、顎でしゃくった。

「氷室孔雀だよ」

俺は高盛の同情するような、面白がっているような、そんな表情から、孔雀に目線をうつす。

一人でグラスに入ったジュースを飲み、まるで周りに誰もいないかのように振る舞う。

「孔雀って、氷室だよな」

高盛はその一言で察してくれたようだ。

「そーだよ。の息子」

高盛はグラスの残りのジュースを一気に飲み干した。

「孔雀は……あー、これはやめといたほうがいいか。人の個人情報だし。うん」

「なんだよ、そんなふうに言われたら気になるけど聞き出せねぇじゃんか」

高盛は孔雀を見つめたあと、「んー、じゃあ……」と呟いた。

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