第7話

「……」

腹が痛い。

キリキリと、胃が引き絞られるような痛みだ。

「……だいじょーぶだよ!ほれ、封筒分厚い」

「うう」

俺は南極に裸で放り出された人みたいに、震えながらうなずく。

俺と秀は、俺の家で合格発表の儀を行っていた。

「よ、よよーし。あけるぞ」

俺は、合否結果の書類のはいった封筒をあける。

なかなか頑丈にのりづけしてあって、ビリビリに細かく破れるだけで、一向にあかない。

「う、あかない……」

「あー、もう。かしてみ」

みかねた秀が、頑固に口をひらこうとしないのりづけ部分に、指をあてる。

そして、そのままのりづけ部分をなぞる。

「何してんの」

「トイレットペーパーの最初ののりづけ部分あるだろ?あれをなぞって摩擦熱で溶かすってやり方があるんだよ。それの応用」

秀は封筒を見ながら答える。

「ほれ、あいた」

のりづけ部分は素直にはがれた。

「はえー……お前すげぇな」

秀はどこか明後日のほうをみて、口だけ笑った。


結果は合格だった。

「よかったー!」

俺はベッドに倒れ込んだ。

「ほーんと、よかったね!」

秀はどこからか取り出したクラッカーを鳴らす。

クラッカーから出た紙テープが、俺の頭に絡みついた。

「いやーよかった」

頭や首に厄介に絡まる紙テープをほどきながら、俺は安堵した。

「これで、高校浪人しないですむよ」

「じゃ、魔法使い頑張れよな!」

俺は固まった。

そうだ、高校浪人は免れたが、魔法使い見習いとして魔法科に行かなくてはならないのだ。

「うあー!死にたくねぇ」

俺はソファで両手両足をばたつかせる。

「まーまー」

秀は俺の頭をチョップする。

「魔法科に進学したからといって、必ずしも魔法使いになるわけじゃない。ちょちょっ、と三年間テキトーに過ごして、大学いけばいいさ。それに、研修期間中は魔法使いとしてメイシと戦うわけじゃない」

以外はな」

俺はクッションに顔をうずくめる。

秀はケラケラ笑った。

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