第6話

「火岡先生」

「ん?どうした?蛇目じゃのめ先生!」どうやらこの女の先生は蛇目というらしい。

彼女は俺を横目で見た後、「やってあげて」と言った。

「うむ!任せてくれ」

火岡先生は手のひらを平らにすると、息を吹きかける。

「わっ!」

息をふきかけたところから、火が現れた。

中国の大道芸でやってそうだった。

火はすぐに消えて、後には何も残らない。

手のひらは火傷はおろか、何の変化もなかった。

驚きのあまり、異常に瞬きをしてしまった。

「さ、コピーして」

蛇目先生が、ボールペンをノックした。

「いきます」

俺はネットで調べた『嫉妬の魔法使い どうしたらコピー能力は使える?ワンポイントアドバイス★』を思い出す。

深呼吸をして、手のひらを平らにする。

『大事なのは、イメージすること!自分がコピーする技をしっかり思い描いてください。』

俺は息を大きく吸い込んだ。

「ふっ……」

息を平らにした手のひらに、吹きかけた。


「はい、それじゃあ、試験終了。お疲れ様〜」

「ありがとう、ございました……」

俺は下山した。

「……秀。先帰ったかと思った」

「親友をおいて、無断で帰るほど白状じゃないよ。俺は」

夕日にあたって、秀は橙色に照らされていた。

「……どうだった?」

俺は自分の靴の先を見る。

薄汚れたスニーカーは、先の部分が黒ずんでいてみすぼらしい。

なんだか、今の俺に似ている。

「ダメかも……しれない」

秀は少し驚いた顔をした。

が、すぐにいつもの余裕そうな笑みに戻る。

「大丈夫だよ。俺が保証する」

「なんだよ、別にお前ただの九条の普通科だろ。理事長の息子とかならいざしらず」

秀はケラケラ笑った。

「あははっ」

秀は俺の肩を叩いた。

「まっ、気楽にいこう」

「はーあ、決まってるやつは余裕だなぁ」

俺たちはそんな会話をしながら、並んで歩いた。

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